光子力研究所の防御バリア...その3 | Q太郎のブログ

Q太郎のブログ

パクリもあるけど、多岐にわたって、いい情報もあるので、ぜひ読んでね♥
さかのぼっても読んでみてね♥♥

 

 「バリアの厚さは39m!」

 

 

 100万度のプラズマでバリアを作ったとしよう。100万度とは、太陽の

 

大気と同じである。

 

 

 この温度ではどんな物質も蒸発してしまうのだが、物体がプラズマに触れた

 

からと言って、瞬間的に温度が100万度になってしまうわけではない。バリアを

 

通過する時間が短ければ、物体に移動する熱量が限られるため、温度の上昇にも

 

限りがある。侵入した物体を溶かしたり蒸発させたりするには、バリアの厚みが

 

問題になってくるわけだ。

 

 

 

 ところが『マジンガーZ』の画面を見る限り、光子力研究所のバリアはきわめ

 

て薄い。どんなに厚く見積もっても、せいぜい1mといったところだ。

 

 このバリアでは、敵のミサアイルがマッハ3で飛んできた場合、わずか

 

0.00098秒で貫通されてしまう。ミサイルが鉄でできているなら、表面の2.6mm

 

が蒸発するだけで、おそらくミサイルの機能には何の影響もない。ほぼ無抵抗で

光子力研究所は壊滅する。

 

 

 直径20cmの砲弾を蒸発させるには、100万度のプラズマに0.038秒間

 

触れさせなければならない。すると、バリアの厚さは39mが必要だ。これより

 

薄ければ、砲弾は溶けるだけで、蒸発には至らず、灼熱した鉄の雨が降ってきて、

 

より広い範囲に、より大きな被害が出ることになる。敵の攻撃の威力を自分のバリア

 

で増大させてど~すんだ!?

 

 

 

 しかも、このバリアは空気に触れさせてはならない。プラズマのエネルギーが

 

空気に奪われ、通常の原子に戻ってしまうからだ。ガラスなどで作られた容器に

 

封入して空気を遮断する必要があるが、エネルギーの流出を防ぐには、そのガラス

 

容器に接触させることも許されない。

 

 これを乗り超えるには、プラズマが強い磁場から抜け出しにくいという性質を

 

利用するしかない。具体的には数10mの隙間を持った2重のガラス瓶を

 

光子力研究所にかぶせる。ガラス瓶の至るところに電磁石を置き、隙間の空気を

 

抜いて、そこに100万度のプラズマを流し込むのだ。

 

 

 

 このシステムの素晴らしいところは、最初に示したバリアの条件の②と③を

 

クリアしている点だ。つまり、光って

 

くれるし、割れてくれる。

 

 

 だが、割れてしまったら、当然この

 

バリアの寿命は尽きる。ガラスを割って

 

プラズマ内部に飛びこんだ1発目の砲弾を

 

蒸発させることはできるが、防げるのは、

 

その砲弾のみである。割れ目からプラズマ

 

が流れ出し、空気に触れてエネルギー

 

を奪われ、消えてしまう。さらに続く

 

敵の攻撃に、残ったガラスだけで耐えなけ

 

ればならない。

 

 

 つまり、プラズマバリアの命は、ガラス

 

瓶の強度なのである。プラズマの温度や

 

厚みよりも、ガラスを強化することに

 

腐心するほうがよっぽど現実的だという

 

事になる。プラズマは中で光っている

 

だけで、その本領が発揮されるチャンスは、

 

ガラス瓶が安泰である限り永遠にこない。

 

切ないジレンマだ・・・。

 

 

備考:この内容は、2016-12-2 (株)KADOKAWA 柳田理科雄著

「どっちがすごい!?空想科学読本」より紹介しました・・・。