海の底奥深くに棲む不思議な魚・深海魚。ものすごい水圧の中でもあのグロテスク
な姿形であるために耐えられるのだろか、と深海魚にとっては大変失礼なことを思ったり
するのだが、彼らを一体どうやって水族館に連れて来るのだろうか?深海から水面に引き
上げるときに、水圧の変化によって内臓が飛び出したりしないのだろうかと不思議に
思う方も多いだろう。
当然ながら、急激な圧力の変化を与えれば、魚の体は絶え切れずに内臓破裂を起こし
●んでしまう。しかし表面の水温が比較的深海と差がない
冬の夜等は、実は深海魚も浅瀬まで浮上してくるとき
があるのだ。そこを狙い採集するという方法がとられている。
また、水圧の変化に対して順応性が高い種類の魚など
では、ゆっくり時間をかけて、徐々に慣らしながら引き
あげるという方法を取ることもできる。
さらに、稚魚のうちは比較的浅瀬に棲んでいる魚を
採集し育ててから展示水槽に
放すということも行われている。どのような方法を
取るにしても、すべて普通の水圧に慣らされた深海魚と
いうことになるので、特に水槽内の水圧を上げたりする
必要はなく、通常の水圧で大丈夫なのである。
ただし、水深1000m以上もの海底に棲む超深海魚
になると話は別で、今のところは残念ながら、生きたまま
の姿で水族館に登場することはできないようだ・・・。
備考:この内容は、1997-5-10 (株)コスモ出版
「通勤電車を楽しむ本」より紹介しました・・・。