「構造に無理があるペルミダー2世」
こうした悲劇を避けるには、車体の逆回転を停める工夫が必要だ。
「ウルトラマンタロウ」に登場した
地底戦車・ペルミダー2世には、2本の
ドリル付いていた。逆回転を防ぐための
構造なのだろうが、コレはコレで非常に
危ない。
掘るべき地面に2本のドリルが同時に
接地すればいい。しかし、片方だけが
先に地面に食い込んで固定されてしまうと、
そのドリルを支点にして、車体が回転してしまう。
そして、半回転した
ところでもう一方のドリルがものすごい勢いで
地面に刺さり今度はそれを支点にした
回転が始まる。この調子では、リンク
の上でとち狂って暴れるスケーターのように
、デタラメに地面の上をのたうち
回る結果となるだろう。乗組員は半回転
ごとに天井と床に叩きつけられ、怪獣を
追いかけるどころの騒ぎではない。
仮に同時に接地できたとしても、基本の形がホチキスの針であるから、
ドリルと車体の接合部まで、潜ったら、もうそれ以上掘り進むことはできない。
エルミダール2世の活躍は、そこで、終わる。
これなら、ドリルは1本にして車体に逆方向の回転力をかければいい。
この力とドリルから受ける逆回転力が釣り合えば、車体は停止し、ドリルの
ほうが回転してくれるはずだ。
この場合、問題は動力源である。地底戦車は、一般に、地上を走る車と同程度の
速度で岩盤を砕きながら疾走する。こんな荒業をやってのけるのは、桁外れの
パワーが必要だ。ドリルを回転させるエンジンは、ジェットエンジンやロケットエ
ンジンのパワーを持っているに違いない。逆回転を防ぐエンジンもこれに
対抗できなければならない。
しかし、ジェットエンジンは大量の空気を消費するので、地下では使えない。
ロケットエンジンなら、酸化剤を積んでいれば動かせるが、こいつは一度火を
付けてまうと、コントロールするのが難しい。車体を回転させないようにするに
は、岩盤の硬さに合わせて回転力を加減しなければならないが、そんな細かい
芸当はロケットエンジンには期待できないのだ。相手が:強かろうが:、弱かろうが:、
常に全力で暴れまわるようなヤツをパートナーにしていては、こっちの身が持たない・・・。
備考:この内容は、2016-12-2 (株)KADOKAWA 柳田理科雄著
「どっちがすごい!?空想科学読本」より紹介しました・・・。