えっ? もう、始まってんの?
え~と、「犬猿の仲」の仲が悪いことの喩えで、どっちが強いとか、
そういうことを問題にしているのではないと思うのですが・・・。
えっ? こんな調子でいいかな?
そもそも、イヌはオオカミに近縁の肉食動物、猿は木の葉や果実や昆虫を食べる
雑食動物。普通に考えれば、これだけでもう、イヌが圧勝しそうに思えるが、
こんな表現が諺になっているのは、両者の実力が伯仲している証拠かもしれない。
もし、どちらかが一方的に強かったら、あっという間に勝敗は決し、「仲が悪い」
という認識にはならなかったでしょうからね。
犬猿の仲のイヌと猿、いったいどちらが強いのだろうか?
「日本にはどんなイヌがいた?」
そもそも「イヌと猿は仲が悪い」という認識はいつ頃生まれたのか?
「岩波ことわざ事典」を引いて、驚いた。12世紀初頭に成立した「今昔物語」の
「巻26の7」に、すでに用例があるという。読んでみると、こんな一節だ。
「本より犬と猿とは中不吉者を」。なんと、イヌと猿が不仲なのは、平安時代の終わり
から常識だった!?
だが、その常識は正しいのか。「イヌと猿」といっても、それぞれ種類がある。
「犬猿の仲」は日本の諺だから、猿はニホンザルと断定して良いだろう。では、イヌは?
昔から日本に住んでいる日本犬には、雄の体重が45kgの秋田犬、15~20kgの
北海道犬、甲斐犬、紀州犬、四国犬、8~10kgの柴犬の6種がいる。ただし、
秋田犬が生まれたのは、明治に入ってから。すると「犬猿の仲」はの犬とは、中型犬か
小型犬を指していたことになる。猿くん、よかったね。ウッキャッキャッ。
だが、古くから人間とともに暮らしてきた犬が、山で生きる猿と遭遇すること
があったのか?再び調べると、日本犬はもともと狩猟犬として活躍していた
ようだ。狩りの対象は、ヤマドリ、ウサギ、イノシシ、シカ、甲斐犬は、これらに
加えて、ツキノワグマ、北海道犬は、ヒグマ!そして古くはニホンザルも食用と
して狩られていた。そうなのか~。これでは、仲が悪いのも当然だろう。そして、
犬と猿の歴史とは、犬の圧倒的な勝利の歴史だったことになる・・・!?
つづく・・・かも?
備考:この内容は、2016-12-2 (株)KADOKAWA 柳田理科雄著
「どっちがすごい!?空想科学読本」より紹介しました・・・。