「魔女と猫の花瓶」
その旅館の廊下には、よく和風の旅館に
あるように、陶器や磁器のうつわや花瓶が
飾ってあります。ちょうど私の部屋の角にも
真っ白い花瓶が飾ってあり、そこには
「魔女と猫の花瓶」と書いてあります。
しかし、不思議なことにその花瓶はただ真っ白い模様の
ない花瓶です。魔女の模様も猫の絵も
かいてありません・・・。
「どうしてこの花瓶が魔女と猫の
花瓶なのだろう・・・?」
私は首をかしげました。
すると、ちょうど
そこを通りかかった60歳過ぎの上品なご婦人が
その花瓶を見てこう言ったのです。
「まあ、上等ねえ。この花瓶。」
「まあじょうとうね、このかびん・・・」
「魔女と猫の花瓶・・・」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「呪いの館」
「親方!親方! まだですか?」
親方は仕事は丁寧だが、何をするにも時間がかかって仕方がない。
この現場も一週間遅れだ。
「親方!親方!ぐずぐずしてちゃ間に合いませんよ。」
親方は悪びれもせず、
「まあ、なんとかなるさ。」
と言っている。
職人たちはあきれ顔でつぶやいた。
「のろいのう、親方・・・」
「のろいのう、親方・・・」
「呪いの館!!」