「ラブホテルで兄貴とばったり」 29歳 女性
これは友達の話です。自分で投稿しろと言ったのですが、彼女はパソコンを
持っていないので代わりに投稿します。
彼女の家は、彼女と兄貴と両親の4人家族です。
遅くに生まれた彼女を両親は
猫可愛がりしておりましたが、兄貴はとても厳格な人でした。女友達からの電話でも
「妹とどういう関係ですか?」
と聞くくらい、6つ離れた兄貴は彼女を大切に
していました。
そんな彼女にも彼ができました。とても優しい人です。しかし、兄貴には恐ろしくて
言えません。以前にも、家に連れてきた男友達をはり倒したことがあるからです。
当然、Hも家から離れたラブホを利用するしかありません。
その日も「友達の家でテスト勉強する」と言って家を出ました。
アリバイ工作もばっちりです。
彼とホテルの部屋でやることをやっていると、ものすごい声が隣から聞こえて
きました。あまりのすごさに、2人とも作業を中断したそうです。
あえぎ声もあそこまでいけば立派なもんだと、変な感心までしたそうです。
さて、コトが終わって帰ろうかと駐車場まで行きました。彼の車は中古車で、
エンジンの調子がよろしくなかったそうで、出ようとしているのに一向にエンジンが
かかりません。その日は平日で、田舎のホテルということもあって、車は2台しか
停まっていません。しばらく彼がエンジンと格闘している間に、彼女は助手席で
うとうとしてしまったそうです。
「どうかしましたか?」 男の人の声がします。
どうやらボンネットを開けて悪戦苦闘をしている彼を哀れに思ったのか、帰ろうと
したもう一組のカップル(あえぎ声の主たち)が声をかけてくれたようです。
しばらくいじっていたようですが、無理だったのでしょう。
「近くまで俺たちの車で
送ってあげますよ。
車は明取りに来ればいい」
と言っている声が聞こえてきます。
「なんていい人なんだろう・・・」っとうとうとしながら彼女は思いましたが、何か違和感があります。
違和感というより、嫌な予感。シートを倒していた彼女には、声の主が見えません
でしたが、心は警笛をがんがん鳴らしています。喜んだ彼は助手席のドアを開け、
彼女に嬉しそうに親切な人たちが送ってくれることを告げました。恐る恐る出て
くると、やっぱりそこには、満面笑顔の兄貴が派手系の女と立っていたそうです。
兄貴はみるみる顔色が変わって、まるで大魔神のようだったそうです。
結局、車が動かないので兄貴の車に同乗して帰ったそうですが、兄貴も兄貴の彼女も、
あんな声を聴かれた後だけに無口で、彼女も彼もとても気まずくて
うつむいたままだったそうです。
あんなところで会うなんて、絶対に考えられないことだと言っていました。
(後日、交際は認めてもらったそうですが)
死んだほうがましだったと、肩を落としていた
彼女が忘れられません・・・。
備考、この内容は、2011年4月29日 発行 「死ぬかと思った 2」より紹介しました。