妻の出産に立ちあって、その痛がりように驚いたという人は少なくない。そこか
ら、女性に畏敬の念を抱く男性もいるようだ。
ただ、考えてみれば、現代では、医療技術の発達によって、さまざまなケガや
病気の苦痛を和らげることができる。ガンですら、昔に比べれば、痛みをかなり
コントロールすることができる。それなのに、なぜ出産の痛みだけは和らげることが
出来ないのだろうか?
出産はケガや病気ではないから、痛みを和らげることができないのかというと、
そういうわけではない。じつは、痛みを和らげることは可能だ。
「無痛分娩」と呼ばれるもので、
麻酔薬などの薬物を使ったり、鍼(はり)によって痛みを緩和する方法は
ある。カウンセリングによって、心理的に痛みや恐怖をコントロールする方法もあり、
海外では無痛分娩を選ぶ女性が増えている。
それなのに、日本では、多くの女性が出産の痛みに苦しむのは、日本独特の
考え方が影響しているためだろう。日本の場合、
「産みの苦しみに耐えてこそ、
一人前の母親になれる」
といった考え方が根強く残っている。その結果、無痛分娩を選ぶ
ことを母親として恥ずかしいことのようにとらえ、あえて痛みのある昔ながらの
出産法を選ぶ人が多いのだ・・・。
備考:この内容は、2012年5月25日発行 夢の設計社
博学こだわり倶楽部編 「誰に話してもすべらない雑学」より紹介しました。