「レストランにて」
注文した料理がなかなか出てこない。そんな
とき・・・。方言や言い回しの違いこそあれ、
「いま、材料を買いに行ってるんじゃない?」と
「買い物中」のネタを持ち出すのが全国では一般的。
ところが大阪では・・・。
牛肉料理なら、
「いま、お店の人が牧場に
牛つかまえに行っとるとこや」
になる。豚肉、鶏肉も合わせ、肉料理全般は
同じようなノリだ。
大阪では「買いに行っている」
ではなく、もう一歩踏み込み、
「つかまえに行っている→その後、さばいている」になるのだ。
もちろん、サラダなどの野菜料理の提供が
遅ければ、
「畑に野菜を採りに行っている」
になり、玉子料理が遅ければ、
「ニワトリが卵を産むのを待っている」
になる。
「親が子供を叱る際」
わが子がいうことを効かない時、言い訳無用の
悪さをしでかしたとき、親は本気で子どもを
叱る。それは全国共通だ。ただし基本は
「いい加減にしろ!」
「今度やったら許さない!」程度であり、
脅しの度合いはタカが知れている。怒られ慣れて
いる悪ガキは、聞いているフリをしてまったく
聞いていない(こたえていない)ことも多いので、
徐々にあまり効果を発揮しなくなる。
ところが、大阪の子供たちは命がけ。口の
悪いお父さんが相手ともなると、一瞬たりとも
気が抜けない。
「シバキあげるぞ!」
「シバキ倒すぞ!」
程度はカワイイもの。完全に頭に血が上って
しまったら、
「ドタマかち割るぞ!」
が飛び出すこともある。そして、究極系は
「殺すぞ!」 大阪のお父さんすべてに言えること
ではないが、なかにはこんな怖~いオヤジがいる
のも事実である。当然、怒りのあまり口にしている
だけで、我が子のドタマをかち割るつもりなど
みじんもない。
「駆け込み乗車に失敗したとき」
なにごともなかったかのようにその場を
立ち去るのが全国標準。とくに恥ずかしがり屋の多い
東京では、乗り遅れたあといきなり携帯を取り出して
会話をするポーズをとったり、首をひねって
考え事をしている体を装ったりと、不自然な行動に
出てかえって目立ってしまっている人もよく
見受けられる。
しかし大阪では、わざと大きなリアクションを
とって、失敗を笑いに変えてしまう人が多々いる。
地下鉄御堂筋線やJR環状線など、少し待てば
すぐに次の電車が来る場合でも、
「あ~、行ってもうた~」
と声をあげ、この世の終わりであるかのような
表情を見せる人も少なくない。周囲に仲間が
いたら、リアクションがさらに大きくなることは
必至である。
「その他お約束」
★サイレンの音が聞こえたら、連れに
「お前のこと、迎えに来たんちゃう?」
★阪神ファン同士が橋の上を歩くシチュエーションでは、
「行きまっか?
「やりまっか?」
のアイコンタクトのあと、柵を越えて飛び込む
フリ・・・。
★銃で撃つマネをされたら、打たれたリアクション。
★刀で斬るマネをされたら、斬られたリアクション。
などなど、キリが無いのでこのへんで・・・。
備考:この内容は、2014年2月21日発行 宝島社
「大阪トレンディ」より紹介しました。