一般人でありながら”名人”の冠詞を与えられ、子どもたちのアイドルに
なった初めてのケースではなかろうか? ファミコン全盛期の1980年代、
突如として現れた「高橋名人」
のことである。
そもそも高橋名人の登場からして
伝説ティックだった。
「スーパーに勤務し、
レジ係をしていた高橋さんは、あまりの
レジ打ちの速さにゲームメーカー社員に
スカウトされた」という、いかにもな
武勇伝である。
じっさいには「高橋名人」こと
高橋利幸氏は、もとからゲームソフト制作会社
「ハドソン」の宣伝部員だった。
都内ではもっともゲームがうまかったため、
子どもたちへの実演販売に駆り出されたと
いうのが真相なのだが・・・。
まあ、このあたりの事実はどうであれ
笑って済まされるが、「高橋名人が逮捕
された!」という話になるとシャレにならない。
これもじつは2通りのいわれがある。
「ある警察署に一日署長として招かれた。それを見た子供たちが
『高橋名人が警察に呼び出された』 → 『名人が逮捕された』と、伝言ゲームのごとく話が
大きくなっていった」
さらにマンガチックな展開もある。
「高橋名人の得意技である”秒間16連射”は、ジョイスティック(もしくは指先!)
にバネを仕込んだから成し得たこと。そのために名人は、詐欺の容疑で警察に
逮捕された」
いかにも子供ならではの飛躍の仕方ではある。ちなみに最近の名人は
ハドソンの宣伝部長を経て、現在では役職名も正式に”名人”となっているという。
そんな名人が思いがけず注目された一件がある・・・。
「2006年、紀子さま(秋篠宮妃殿下)に長男が誕生されたさいのテレビの
街頭インタビューで、偶然にも高橋名人がマイクを向けられていた」
一度、面が割れてしまうと、もう「フツーの人」には戻れないということなのか・・・?
備考、この内容は、2010年6月1日発行、夢の設計社
「いま一番新しくて恐ろしい都市伝説 信じたくない恐怖」より紹介しました。