古典落語を聞いていて、いつも感心させられるのが
江戸庶民のユーモア感覚だ。とくに面白く感じる
のは、長屋話の”あだ名”の付け方である。
”与太郎”や
”飲兵衛”
”三太郎”など、
その人の人格や性格を、
人命の形にして表現したものが少なくない。
色好みの人間をいう「助平」という言葉も、庶民の
生活のなかで生まれたニックネームである。
色好みが人格化して”好兵衛”になり、
それがさらに
「助平」に変わったらしい。当然、「助平」さんに
苗字などあるはずがない。もっとも、男なら色を好む
のは当然で、逆に言えば、どんな苗字でも
構わないと、言えば構わない・・・。
備考:この内容は、1988年1月20日 発行
ごま書房 「知っているようで知らない日本語」より紹介しました。