2009年(平成21)10月27日、本州と九州をへだてる関門海峡で、海上自衛隊
の護衛艦「くらま」(5200トン)と、韓国のコンテナ貨物船「カリナスター」
(7400トン)が衝突した。
この海難事故で、大破したのは護衛艦の方だった。艦首から約10mに
わたる部分がグニャッと折れ曲がってしまったのだ。
「くらま」は対空、対艦、対潜などの幅広い任務を
こなせるヘリコプター搭載型
の海自自慢の護衛艦だ。
2001年(平成13)には、テロ対策特別処置法
にもとづいて、インド洋で給油活動任務に
もあたった。
その”軍艦”が、なぜ貨物船と衝突しただけで、
あっけなく壊れてしまったのだろうか?その
理由は、大きく分けて2つあると思う。
その①の理由は、現在の護衛艦が遠距離
ミサイルによる攻撃を想定していることである。
飛来してくるミサイルをかわすため、現代の”軍艦”
は装甲の強度よりも、移動スピードが重視され、
船体重量を抑えた設計になっている。そのぶん、
装甲は薄くなっているのだ。
②の原因は、衝突後の火災による
ダメージが大きかったことである。
「くらま」の場合、塗装作業に使うシンナーが艦首近くに保管されていた。衝突の
衝撃で、保管庫の電線から火花がでてシンナーなどが燃え上がり、約10時間も
燃え続けたため、艦首部分が大きく変形することとなったのだった・・・。
備考:この内容は、2012年3月30日発行 夢の設計社 著
「誰に話してもすべらない雑学」より紹介しました。