「両親を離婚させかける」 あのときの犯人 23歳 女性
私がまだ中学生の時のことです。父は仕事帰りに遊んでいるようでしたが、母は
あきれていたのか、特に何も言ってませんでした。
ある時、わたしは父と大喧嘩をし、腹を立てた私は父を困らせようと思いました。
翌日、父がへべれけに酔っ払って帰ってきました。
父が脱ぎ散らかしたYシャツを、母が洗濯機の横のかごに入れるのを確認すると、
わたしは真っ赤な口紅を何重にも唇にぬりたくりました。
そして、その唇を父のYシャツへ・・・。うう~ん、われながら見事なKISSマーク。
仕上げはコロンの香りづけと、妹の人形の金髪一本添え。
私は、しめしめと唇をその場で洗い、何事もなかったかのように床に就きました。
翌日は土曜日。父も仕事が休みです。
おぉっ、? なんだか騒がしい。
そう思ってリビングに行ってみると、母が「何なのこれは!」と、私の
キスマークがついたYシャツを父に付き出し、激怒しているではありませんか!
父は「だから知らないって!」と、必死に弁解するも、母の怒りは収まりません。
日ごろの行いが悪いからだ、心の中でそう笑い、私はその場を去りました。
そして、またその翌日・・・。
まだ騒がしい。
泣きじゃくりながら「今までは我慢してきました・・・。本当に上司の方だと信じて・・・」
と言う母と、「本当に悪かったと思ってる! でも今回のは本当に違うんだ!」
と言う父の間には、離婚届!
そして、その間には、あのYシャツ!!
まずい・・・。
「あれは私だよ~」
と言えるはずもなく、父と母の気まずい空気の中で1週間
過ごしました。
死ぬかと思った・・・。
備考:この内容は、2010年2月22日発行 (株)アスペクト
林雄司編・著 「死ぬかと思った5」より紹介しました。