「大声」デビューの誤算
現在、発売中の単行本「AKB48
裏ヒストリー」でも、松井樹里奈の衝撃
デビューで、沸き起こった秋葉原での
大きな反響について、ヲタの証言をもとに
掘り下げているが、”樹里奈の場合、
どうしても東京と名古屋” ”古参と
新規”といった両極端な部分に
ひっかかってくるので、なかなかその事象の
結果を見つけるのは難しくなってくる。
そこで今回は改めて、新たな証言を
広く集めて、松井樹里奈の裏ブレイク
ヒストリーの、さらに”声”を追及して
行きたいと思う。
まずはあまりにも衝撃的だった
「大声ダイヤモンド」でのセンター大抜擢
事件から。当時、まだ11歳、しかも
AKBメンバーの中ではなかった樹里奈が、
いきなり前田敦子と並んでセンター
ポジションを乗っ取った(CDジャケット
に関しては単独で登場している)
のだから、誰もがさすがに驚いた。
そして巻き起こったのが、樹里奈への
バッシングだ。これまで”ヲタが
アイドルを育てる”現場として機能して
きた秋葉原の劇場では、明らかに運営
サイド(秋元康)の猛プッシュが見え隠れ
する樹里奈の存在は、ある意味、否定
されても当然であり、ついには劇場で
の握手会では樹里奈がヲタに泣かされ
てしまう、という事件までが勃発して
しまう・・・。
「ひとつ誤解してほしくないのは、
僕たちは樹里奈をたたいていたわけじゃ
ないんですよ、あくまでも運営サイドに
対して疑問を投げかけていただけで
す。なんでAKBにはこんなに
たくさんの人材がいるのに、わざわざSKE
から樹里奈を抜擢しなくちゃ
いけないのか?あの子が来たおかげで
AKBの枠がひとつ減ってしまうのは
おかしくないか?樹里奈を入れるん
だったら、いつもより選抜の枠を
増やすべきだったんじゃないか?
まぁ、たしかに樹里奈はいらない、
と騒いでいるように見えても仕方ないお
けど(苦笑)、僕らもそれだけ真剣
だったんですよね。だから、とにかく
疑問しかなかった。(古参のAヲタ)
この意見には、樹里奈のホームで
ある名古屋からも同調する声が
聞こえてくる。
「あれはさすがにやりすぎだ。と思い
ましたね。こんなことやったら、絶対
に反発を食らうじゃないですか?
それに、樹里奈はルックスからして
小学生らしさが薄い子だったから
”子供好き”なヲタたちの需要にも
合わなかったんじゃないかと思います。実際、
当時、樹里奈を推していたのは、高橋
みなみや大島優子のような「できる子」
が好きな、年齢層も比較的高い
ヲタたちでした・・・。
それに、名古屋では樹里奈よりも、
(松井)怜奈の人気に火がつくのが
早かった。やっぱり怜奈は大人だから
ちゃんと会話ができるじゃないですか?
その分、人気は出ますよね。
単純に、そこの違いは大きかったんじゃ
ないかと」(名古屋在住の樹里奈ヲタ)
とはいえ、ある程度の反発は当時の
運営サイドも織り込み済みだった
はず。それでも強行せざるを得なかった
のは、当時のAKBを取り巻く状況が
けっして順風満帆ではなく、これ以上、
無風状態が続いた場合、まったく先が
見えなくなってしまう恐れもあり、
かなりのムチャをする必要があった、と
いうことを忘れてはならない。

おそらく「大声ダイヤモンド」を
起点として、AKBのメインストリーム
であった、”前田敦子成長物語”と
並行する形で、”松井樹里奈の成長物語”
も紡がれていき、いずれはそれが東京
と名古屋でふたつの大きな潮流を
作る・・・というプランも描かれていた
のだろうが、あまりにも反発の声が
大きく、せっかくの大河ドラマが
かき消されてしまったのは運営サイドとしては
大きな誤算だったに違いない・・・。
つづくかも・・・
備考:この内容は、「BUBUKA 5月号」より紹介しました。