テレポート
こんばんは、今日はお手紙を紹介します。
東京で生活を始めてやっと1か月、というフレッシュな学生さん
からのお便りです。新鮮な目で、東京がいかにすばらしい街かを
レポートしてくれました。
★レポート1
テレビのチャンネル争いは
いやなものです。ボクの住んでいた村では2局
しか映らないのに、それでも”チャンネル争いから
親子げんか”などという事件が起こったり
しています。その点、東京はすばらしいと
思います。そびえ立つ高層ビルのおかげで、
テレビはいつも二重画像、1台で2台分の
番組が楽しめます。チャンネル争いなど
起こりようもありません。
ホントに便利だと思います・・・。
★レポート2
地方で多い事故といえば、
子どもの水による事故です。東京のように
室内温水プールなどありませんから、どうしても川や海での水〇という
ことがあるのです。その点、東京の川や海はプ~ンとにおう悪臭つき。
子どもたちが水遊びや水泳なんか、ぜったいにする気にならないように
してあるんですね。福祉行政のゆきとどいている街に住める子供たちは、
しあわせです・・・。
★レポート3
ボクの地方にも天気予報はありますが、光化学スモッグ
注意報まではありません。また街中にオキシダント濃度、
亜硫酸ガス濃度、騒音などを電光掲示してあるのには、さすがは
科学の粋を集めた近代都市という感を深くします・・・。
★レポート4
夏、いなかの日差しは強く、日射病や熱射病に
やられる人が多数出ます。その点、東京は安心です。住宅のとなりには
3階建ての貸しビル。一日中太陽の光がささない構造は、赤ん坊を
窓辺で寝かせていても安心です。都市全体の
上空をおおうスモッグは、日差しをやわらげ、
日ガサやほうかむり、麦わら帽子の心配が要りません・・・。
★レポート5
いなかで自〇といえば、
松の木に首をくくりと相場が決まっています。
ところが、よい枝ぶりの松をさがして山の中に
はいっていくうちに帰り道に迷うとか、首は
くくったもののだれも発見してくれず、家出人
あつかいをされるということがよくあります。
その点、東京ではちょっと歩けば高層ビル、
高層団地。たくさんの人に見守られながら
確実に自〇することができるのですから、
こんな暮らしやすい街、ほにゃららしやすい街もないでしょう・・・。
★レポート6
東京はストレスのたまる街と言われますが、実際は
そうでもないようです。交通渋滞の交差点でクラクションを
ひとつ鳴らせば、たちどころに数人の人たちとケンカができ、
たちまちストレス解消。混み合う駅のホームも同様、むしゃくしゃをぶつける
相手に不自由はしません・・・。
★レポート7
東京には肥満児が多い、と識者をなげかせていますが、
いなかの子どもの栄養失調よりはましです。まして東京の子どもたちは
通学の電車のラッシュをアスレチックと心得て、毎日アセを
流し、体を鍛えています。明日の日本をささえる若人は東京出身者
ばかりということになるでしょう・・・。
★レポート8
いなか者はすぐに他人を信用しがちです。東京に
来てはじめて、300円もしないビールが5万円
になることを身を持って教えられました。
これからの複雑な国際社会を生きていくうえで、
これにまさる教訓はありません。愛想が
いいからといって、他人をすぐに信用しては
いけないのでしょう。今ではあの新宿歌舞伎町の
暴〇バーの、左手の小指の先のない若者に、
お礼を言いたい気持ちです・・・。
備考:この内容は、1991年6月5日発行、
えびなみつる さくまあきら 著 KKベストセラーズ
「テレビを3倍楽しむ本」より紹介しました。