篠原涼子、安室奈美恵、
華原朋美、KEIKO、
鈴木あみ・・・数多くの女性ボーカリスト
をプロデュースし、スターダムに
押し上げてきた小室哲哉氏。
「女歌の名手」と言われた彼が、初音
ミクなどのボーカロイド(以下、
ボカロ)を使った自身のカバー曲集
(小室哲哉meeis VOCALOID」
を発表。「愛しさと
せつなさと 心細さと」や
「DEPARTURES」などのアレンジを
人気ボカロPに任せる
新たな試みに挑戦している。プロの
音楽プロデューサーにとって、
ボカロのとはどのような存在なんですか?
ニコニコ動画のボカロコンテスト
でプレゼンターをやらせて
いただいたとき、(篠原涼子が所属していた)
東京パフォマンスドールを
手掛けていた方が、初音ミクに
関わっていたことを初めて
知って・・・。みんなどこか似たことを
やっているんだなと感じましたね。
人間味半分みたいな(笑)。
僕も、6~7年ぐらい前から
僕なりのボカロの原型のようなもの
を作っていたんです。KEIKO
の声をサンプリングして、
キーボード
で弾くと彼女の声が出る
ようにして、globeのツアーで
コーラスの手助けとして使おうかと・・・。
初音ミクを初めて聴いた時に
感じたのは、一時はやったオート
チューンのように、声を
ひずませるエフェクトに近いのかな
ということ。ちょっとした
特殊効果という位置づけでしたが、
今では様々な可能性を感じています。
初音ミクをはじめとするボカロは、
具体的に、ツールとして
どんな魅力があるんですか?
僕がこれまで手掛けてきた曲は、
譜割りがゆっくりになったり速く
なったり、ブレス(息継ぎ)が
なかったり転調が多かったり、
ジェットコースター的と言われていました。
それを生のボーカリストに歌って
もらうのは、困難な面もあって、
レコーディング技術を駆使して
クリアしてきたわけです。しかし
初音ミクは、もっとむずかしい曲でも
苦もなく歌ってくれます(笑)。
ただ、ウケるかウケないか、
ヒットするかしないかは、また別の
問題だと思います。たとえば、
90年代に、僕がプロデュースした女性
たちは、必ずしも歌がうまかった
わけではなかった(笑)。歌の
うまさよりも、声の質感を重視して
ボーカリストを選んだことによって、
逆にインパクトのある曲が
生み出せた曲もあるんです。
だから、生のボーカリストが
不要になるということもないですね。
その人にしか歌えない
ボーカルや、その場でしか見られない
生のライブはそれならではの価値を
持っていますから・・・。
ボカロも生のボーカリストも
同じですが、結局は作り手次第・・・。
どれだけのキャパシティーや
マーケットを想像して、どれだけの
人種にウケるかまで考えているか?
どういう戦略を持っているかという
ことだと思います・・・。
つづくかも・・・
備考:この内容は、「日経エンタテイメント 2012年5月号」より紹介しました。