私がおしゃれで大事にしていること。それは「抜け感」です。
スランス女性がおしゃれに見える秘密も、一言で言い表すとすれば、
「抜け感」だと思っています。
デコルテのあき、シャツの襟もとのあき具合、無造作なヘアスタイル・・・、
決めきれず「抜く」ことで、空気感をふわっと取り入れる。「抜け感」で
ちょっとした隙をつくることにより、女性らしさを演出できるのです。私も
小さい時からそのテクニックを知らずのうちに観察していたのかも
しれません。自然と自分のファッションに「抜け感」をつくるようになって
いました。
この本の表紙のコーディネートは、自分の中で、心地いいバランスを表現
したお気に入りのパターンです。デコルテのあいたラルフローレンの黒い
ニットにデニム。これだけではちょっとさみしいので、パールのネックレスで
エレガントな味付けを加えています。もし、黒いニットがタートルネック
だとしたらどうでしょう? 隙がなくなり、エレガントな雰囲気は消えて
しまいます。
また、完璧すぎるのはつまらないからと、わざと崩しを加えるのも
フランス女性流「おしゃれの方程式」です。
ボタンをひとつ余分に外す、髪をくしゃっとひとまとめにするなど、
わざわざ「無造作」に見せるのです。これはフランス女性ならではの見事な
計算。計算していない無造作は、だらしなく見えるだけ・・・。計算しつくされた
無造作だからこそ、その人にしかない魅力になるというわけなのです。
こうして改めて考えてみると、フランス女性たちにとって、おしゃれは
自分自身を女性として開花させるために、絶対欠かせないものかもしれません。
つまり、生き方そのものと言っても過言ではないのかもしれません・・・。
備考:この内容は、2011年7月5日発行、講談社
滝川クリステル著「恋する理由」より紹介しました。