フランス人は、8月から9月上旬にかけて、田舎などにヴァカンスに
出かけます。その休みの期間は長い人ではなんと2ヶ月も・・・。この時期のパリから
は、人気がなくなり、ちょっとさみしい雰囲気になります。
とくにパリジェンヌたちは、ヴァカンスの数ヶ月前から計画を立て
はじめ、何を着ていこうか、どんなことをしようか、準備期間さえも楽しんで
るようにみえます。
フランス人は伝統的に金銭中心の思想に抵抗感を持っています。よって
労働に対する考え方も、義務といった思想がまだ根強く、できれば避けたいもの
として位置づけられているので、労働から解放されるヴァカンスが好まれて
いるのも自然なことなのです。
ふだん、家族とじっくり向き合う時間が割けないぶん、それを埋め合わせ
るために、ヴァカンスがある。フランス人
けっして特別に贅沢な旅をするのではなく、家族や愛する人たちと過ごす時間を
楽しんだり、自然の中でさまざまな体験をしたり、人と出会うことで、「人生
の蓄え」を求めにいくような感覚なのです。
フランス人の多くは、心豊かな時間を過ごすために、家族と一緒に
フランスの田舎に行って、自然に囲まれた家でのんびりと過ごしたり、遠くに
住んでいる家族や親戚を訪ねたりします。観光やショッピングはせず、のんびり
読書したり、ドライブしたり、美味しい食事を楽しんだり、する充電期間で
あったりもするのです。
たとえば、私の家族もヴァカンスの時期は長期で休みを取っていたので、
フランスの田舎に家を借りて滞在したり、祖母の家に親戚30~40人が
集まって「家族会」をしたりして、過ごしました。ちなみにこの「家族会」、
祖母が亡くなった今も続いていて、1年に1~2度、いろいろなところで、
集まっています。私は仕事の関係であまり参加できないのが残念なのですが、
父や母は、できる限り参加し、楽しんでいるようです。
フランスの有給休暇消化率は93%(エクスペディレポート/
国際有給休暇比較2010年より)、世界ナンバーワンだと言われています。
一方、日本は56%。パリの老舗百貨店のギャラリー・ラファイエット
で国際コミュニケーションの仕事に携わるヴィルジニー・ダヴィットさんに
よると、フランスでは、年間5週間の年次有給休暇が与えられるのに
加え、有給休暇を貯めることもできるので、年間6~7週間のヴァカンスが
可能なのだといいます。
おそらく、もともと、仕事とプライベートのベストのバランス、
ワークライフバランスを取るために、リラックスするヴァカンスが必須、そして
そのほうが、仕事の効率も成果も上がるというのが、フランス人の考え方
なのでしょう・・・。
備考、この内容は、2011年7月5日発行 講談社
滝川クリステル著 「恋する理由」より紹介しました。