ネコは高音を聞き取る能力が人間やイヌよりも高い
猫がじっとどこかを見ているので、「何を見ているの?」と視線の先を追うと、何も
ない壁。目を凝らしたが、やはりなにも見えない。しかし猫は熱心にそちらを見続けている。
「・・・ねぇ、そこになにかいるの?」とおびえたくなってくる。
だが、心配無用。猫に神秘的な力はあるかもしれないが、少なくともこうした場合は、人間
には聞こえない音に、じっと耳を澄ましているだけ。低音を聞き取る能力は、人間もイヌも猫も
それほど差はない。だが高音なら、人間は約20kHzまで、イヌは40kHz、そして猫は
それをはるかに上回る約80kHzまで、よく聞き取れるのだ。
猫がずっと獲物にしてきたネズミなどの げっ歯類は、約20~90kHzの高音で鳴きながら
動き回る。おそらくこうした獲物の居場所をとらえるために、猫は高音をよく聞き取るように
進化したものと思われる。
こうした獲物が立てる小さな音を、猫は耳でキャッチする。この耳は、左右別々の方向に
動かせるのはもちろん、後ろにも向けられる、非常に優秀なアンテナだ。両耳に音が入る
わずかな時間差や、音の大小で、音を立てているものとの距離を、正確につかむこともできる・・・。
備考:この内容は、平成22年6月30日発行、日本文芸社
竹内徳知・監修 「面白いほどよくわかる ネコの気持ち」
より紹介しました。