木村拓也 VOL.15「生き物」 | Q太郎のブログ

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パクリもあるけど、多岐にわたって、いい情報もあるので、ぜひ読んでね♥
さかのぼっても読んでみてね♥♥


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VOL.15 生き物 May.2005 木村拓也




「あんな虫、捕まえられたらいいな」って思いに突き動かされて外に


飛び出して行ったガキのころのことは強烈に覚えている。欲求を自分の力で


叶えた感動というか・・・。




 こういう部分って、もしかしたらオヤジの幼い頃の経験や、その頃抱いて


いた愛情が俺自身のなかにDNAとして組み込まれているのかもしれない。


そのスイッチが、どこかでカチッと入った瞬間があったんだと思う。




 で、今自分がたとえばドラマの収録現場で子供たちに囲まれて虫の


捕まえ方を教える時、確実に何かをバトンタッチしているような


気持ちにもなる。



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 団地育ちだったことに関しては、集団生活の雰囲気も楽しかったし、


何も嫌なことはなかったけど、強いて一つ気に入らなかったことを言えば、


自由に動物と暮らせなかったこと。イヌ、ネコはもちろんダメだった。


許される範囲内で可能な限りのヤツらを、家の中に連れてきてたけどね。


川で釣って来た魚とか虫。これは男のコが一時期みんな抱く感情だと思う


んだけど、スポーツカーに対してと同じような気持ちを、虫に対しても持つ


んじゃないかな。すごくカッコよく思える。




 その頃、バッタやコガネムシは初歩でしょ。ゲンゴロウやミズカマキリ


なんていうのもいた。


 それでもまだ興味は尽きなくて、毎日、図鑑を眺めていた。当時は図鑑に


載っているイヌの種類は全部暗記してたからね。


 どんなにグロテスクなトカゲだろうが両生類だろうが、「?」って


引く気持ちには全然ならなかった、いつも好奇心のほうが勝っているから。


 一度カエルの出した毒でかぶれたことがあって、ちょっと避けるように


なったこともあるけど、それくらいかな。苦手な生き物ってほんとにない。




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 小学校では迷わず飼育係。ニワトリ小屋の中の掃除も、あの独特の匂いも、


まったく苦にならなかった。


 その頃の将来の夢は、動物園の飼育係か獣医。人、人、人・・・に囲まれた


サラリーマンに対になるより、動物といたほうが楽しそうだなって


思っていた。「こいつ何考えてるんだろう・・・?」とか「こっちよりこっちの


食べ物のほうが好きなんだ!」とか、そういうことを大人になってからも


やっていけたらいいなって。そういうレベルなんですけどね・・・。





 もし、これから生き物と暮らしたいっていう人がいたら、ひとつだけ言いたい


のは、”飼う”って言葉はやめてほしいってことだけかな?


あくまでも一緒に暮らして欲しい。そう考えたら、相手の嫌がることはしたく


ないでしょ。こっちの嫌なこともちゃんと分かってもらわないといけないし


ね。




今、自分の家には熱帯魚がいる位だけど、やっぱり一緒に暮らして


るって感覚。同じように熱帯魚好きなヤツと話したりするのも楽しい。


似たような高揚感を共有できるのも嬉しいし・・・。




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 でも、生き物と一緒に暮らすって、考えてみればただの欲張りなんだよね。


こっちの満足のためにだけの行動だもん。向こうからすれば完全に


「ほっとけ」ってもんだろうし・・・。





 たまにサファリパークに行くこともある。檻がないという点では動物園


より好きかな?


 たとえばアフリカとか”本当”に対しては興味もあるし、魅力も感じる。


でもどこかで生態系を目の当たりにするのは重すぎるような気もする。





 だから今は大きな動物たちなら、それこそサファリパークとか牧場とか、


限られた種が限られたところにいる状態に接するのが自分にはちょうど


いいのかなぁ・・・。





備考:この内容は、2011年9月30日発行、集英社
木村拓哉著「開放区2」より紹介しました。