ヤクルト・スワローズは、インターネットにHPを開設している。その中の
「ひとこと言いたい」欄は、PCを使ったファンの投票や議論の場だ。ここ数日、話題は当然、
「落合」に集中した。
1996年12月9日、43歳の誕生日に、落合博満選手は、ヤクルトの要請を蹴って日本ハムへの入団を
決めた。(やはり落合は金に目がくらんで)(男の意地はなかったわね)(勇気に期待したん
だけどな)と言いたい」欄には批判、非難が相次いだ。ヤクルト野村克也監督への苦言もあった。
(しゃべりすぎ)と。
入団交渉の過程で、監督は、金銭面での条件が上回っていた日本ハムを意識して「落合が日本
ハムに行けば、お金と思われる」などと発言した。これが落合の神経を逆なでした、と解説した
スポーツ紙もあった。(しゃべりすぎ)は、この辺を指すのだろう。男の意地とは、自分を袖に
したジャイアンツを球場で見返すこと。もちろんヤクルトの4番として・・・。
一方で、HPにはこんな声もある。(プロなのだから「自分個人にとって有利な方を
選んだ」でいい)(自分を裏切った相手を見返すために戦うのを「浪花節」とたたえるのは疑問
です)。私も、こちらに賛成したい。集団に適応せず、あくまで個に徹し、自分の主張を
はっきりさせる落合は、日本の社会では異端だ。しかしプロとして働けるのは、あと2~3年。あれこれ
考え、条件のいい方を選ぶのは当然だと思う。
このPC投稿、ほかにもファンの心理を映して、なかなか面白い。(来年の4番がだれに
なるか、これでまた考える楽しみができた)(来季、落合が来たのにヤクルトの成績はBクラス
というよりはいい)(お歳暮にハムを贈るのはやめよう)。
冷静なファンもいる。(この欄の意見は、あくまで一部。PCを持たぬファンも多い。ほかの
声も聴くべし・・・)。
母校:この内容は、「天声人語」1996・7月~12月より紹介しました。