木村沙織 | Q太郎のブログ

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パクリもあるけど、多岐にわたって、いい情報もあるので、ぜひ読んでね♥
さかのぼっても読んでみてね♥♥


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2011年ワールドカップを終えて



次の挑戦へとつなげる、

皆の願いが込められた一打



 「最後の一球は、絶対自分のところに来る」


迷いなく、木村沙織は助走を取るために


開き、狩野舞子は2段トスをレフトに上げた。


高いトスを打ち切った木村の打球は、2枚


のブロックを弾き、ラインを割る。25-18、


この試合に勝利すれば優勝するはずだった、


アメリカの夢を散らせる日本の


ストレート勝利。




 直前の試合でドイツが中国に敗れた


ため、この大会でのメダル獲得は絶たれて


いた。それでも「最後は勝って終わろう」と


互いを鼓舞し合って臨んだ最後の一戦を、


これ以上ない形で締めくくり、木村の笑顔


も弾けた。




「今日(アメリカ戦)のようなバレーを


すれば、どんな相手にも勝つことができる。


私だけでなく、選手全員が実感しました」






 世界に対して得られた手応えと、突きつ


けられた課題。そして、埋めきれなかった


差。エースの自覚と責任を抱き、人生初の


スランプとも直面した夏。本気でメダル


獲得を目指し、オリンピックの出場権を


目指してきたからこそ、見えたものは何か?


高めるべきものは何か・・・?




「全部です。サーブもブロックもスパイク


もサーブレシーブもディグも、ホントに


全部。メンタルも含めて、全てが足りないと


感じました・・・」




 

一次ラウンドから、試練を問われる


厳しい戦いが続いた。近年の対戦成績では


分(ぶ)が良く「苦手意識はない」と木村も明言して


いたイタリアとの初戦、ここで勝って波に


乗るはずが、試合巧者の相手に完全に


封じられ、チームも木村も本来のプレーには


程遠く、試合途中での交代を余儀なくされる


ほどだった。




「調子が悪いわけでもないし、感覚が


乱れているわけでもないんです。いつも国際


大会の最初は状態が悪いんですけど、今回は


特に悪くて・・・。『絶対に勝たなきゃ』と


思えば思うほど、ガチガチになってしまい


ました」




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 2戦目のアルゼンチン戦で快勝し、


ようやくここからとチームにも木村にも


エンジンが掛かり始めた矢先、3戦目の中国に


はフルセット負けを喫した。しかも最終


セットは5-1と本来であればセーフティ


リードを得たはずの状況から、まさかの逆転


負け。


 3戦を終えて、1勝2敗。木村の表情が


再び曇る。




「正直、厳しいと思います」




 メダルへの期待が高まっていただけに、


周囲のムードも変わる。札幌ラウンドの


初戦でセルビアに破れ、3敗目を喫した後は、


まさに崖っぷち。だが追い込まれるところ


まで追いこまれて、木村のギアはトップに


変わり、戦闘モードに火が付いた。




 札幌ラウンド最終戦。11月13日の


ブラジル戦はまさに圧巻と呼ぶべき試合だった。


 昨秋の世界選手権でも対戦しており、


まさに世界トップクラスが集う憧れのチームで


あることはまちがいない。だが、もう一つ


も負けられない状況の中では、ブラジルと


て木村にとっては「今、倒すべき相手」の


ひとつに過ぎない。




 1セット目からシーソーゲームとなった


が、23-24で最初のセットポイントに到達


したのはブラジルだった。しかし、ここで


日本は竹下のブロックポイントで24-24の


同点とし、木村のレフトからのスパイクで


逆転。セットポイントを取り戻し、最後も


木村が2枚ブロックの後ろにフェイントを


落とし、26-24で制する。




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「ポイント、ポイントで取るべきところで


自分たちが得点を取ることができたのが、


すごく大きかったです」




 終わってみればブラジルにストレート


勝ち。たとえ、わずかな可能性とはいえ、日本


女子チームが起こすかもしれない奇跡に、


周囲の期待が再び高まる。度重なる大一番


の中、最終関門第一章というべき、


ドイツとの一戦もまさに死闘と呼ぶにふさわしい


激戦になった。セットポイント2-2で


迎えた最終セット、選手、スタッフ、全員


がベンチの前で円陣を組む。「絶対に勝つ」


と誰よりも強い気持ちを見せたのが、他でも


ない木村だった。




 8-9と日本が1点の劣勢時、竹下の


トスは迷う事無く木村に上がる。ダイレクト


で跳ね返ればまた自ら押し込み、何度


切り返しても、ブロックが並ぼうと、日本の


攻撃は木村、木村。「エース一辺倒」と


批判する人もいるかもしれない。たとえ何と


言われようと、この場面は木村で。コート


内の選手にも、ベンチにも迷いはなかった。


主将の荒木はこう言った。




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「あの場面は絶対にサオリ。チーム全員で、


サオリに打たせたい、


サオリに決めて欲しい、


と願って つなげた1本でした」


 度重なるプレッシャーを乗り越え、木村


沙織は真のエースとして、ロンドン・


オリンピックに挑む。来たるべき時に向けて・・・。


ひとつの戦いは、次の始まりにすぎない。


戦いはまだ、始まったばかりだ・・・








備考:この内容は「月刊バレーボール 1月号」より紹介しました。