もしドラ 2 | Q太郎のブログ

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パクリもあるけど、多岐にわたって、いい情報もあるので、ぜひ読んでね♥
さかのぼっても読んでみてね♥♥


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第1章 みなみは「マネジメント」と出会った




 みなみが通っていたのは、「東京都程久保高校」という公立の普通高校だった。


程久保高校・・・通称「程高」は、東京の西武、関東平野が終わって多摩の丘陵地帯が


始まる、大小さまざまな丘の連なる一角にあった。


 校舎は、そんな丘の一つ、見晴しのよい高台の上に建っていた。教室の窓からは、


遠く奥多摩の連山や、晴れた日には富士山まで見通せた。


 その一帯は、昭和の半ばに山林を伐採して切り開いてきたベッドタウンで、周辺には


まだ雑木林も多く残り、東京都はいえ自然豊かなところだった。


 程高は進学校だった。偏差値は60を超え、大学進学率は、ほぼ100%で、毎年


数名の東大合格者を出すほどだった。





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 この画像・・・本編と、関係あるのかな・・・?


 それに比べると、スポーツの方はさっぱりだった。部活動そのものは盛んだったが、


全国大会に出れるような競技は一つもなかった。


 それは野球部も同じだった。決っして弱くはなかったが、強くもなかった。甲子園を


狙えるようなレベルではなかった。これまでの最高は、もう20年以上も前に一度だけ


5回戦(ベスト16)に進出したことがあるだけで、いつもはよくて3回戦止まりだった。


 そのことはみなみも知っていた。だから、もともと今の野球部に大きな期待をしていた


わけでもなかったが、それでも、いざ入部してみると愕然とさせられた。現状が、あまり


にもお粗末だったからだ。これでは、甲子園はおろか、1回戦を勝ち抜くのさえどうかと


思わされた。


 みなみがジャーマネになったのは、夏の都予選に負けて3年生が引退した直後だった。


ジャーマネと、言う表現が気になるなら、フツーに戻しますが、何か・・・?


だからというのもあったが、この時期の練習にはほとんどの部員が参加してなかった。


 別に休みと言う訳ではなかった。練習はちゃんと行われていた。それにもかかわらず、


多くの部員がほとんどなんの理由もなしに、またなんの報告もなしで、練習をサボって


いたのである。





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 このころの野球部には、そういう雰囲気があった。出るのも休むのも全くの自由。自由と


いうと聞こえはいいが、単に規律がないだけであった。いくら休もうと、いくらサボろう


と、なんのおとがめもなしだったのである。


 みなみが初めて練習に参加した日、出席していたのはたったの5名だけだった。部員は


全部で23名だったから、4分の3以上が欠席していたことになる。しかも、そういう


状態が約1週間続いた。そうして、あっという間に夏休みが目前に迫った。


 それで、さすがにみなみも少し焦った。このまま何もせず夏休みに入ってしまうのは


いやだった。せめて自分の想いくらいは誰かに伝えておきたかった。そのうえで、自分の


考えに賛同してくれたり、協力を申し出てくれる仲間を募りたかった。


 そこで彼女は、監督と、出席していた数少ない部員たちに対して、こう打ち明けた。


「私は、この野球部を甲子園に連れて行きたいんです」


みなみちゃんは、女子でしょ!何?簡単に言っちゃってくれちゃってるわけ・・・?




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 すると、それに対して様々な答えが返ってきた。真剣に聞いてくれた者もいれば、


軽く受け流した者もいた。中には、ほとんど要領を得ない答えもあった。しかし、その


すべてに共通していたのは、どれも否定的なことだった。


 監督の加地誠は、こういった。


「それはさすがにムリじゃないかな。甲子園大会が始まって、もう90年以上になるけど、


西東京地区で都立高校が甲子園に出場したのはこれまでたったの1校、都立国立高校だけ


だからね。それでなくても西東京は、私立の強豪がひしめく激戦区で、桜美林、日大三高、


早稲田実業と、甲子園優勝経験校が3つもある。甲子園に出場するには、そうした私立の


強豪をいくつも倒さなければならないんだよ。その目標は、あまりにも現実とかけ離れて


いるよ」


甲子園目指すなら、公立の進学校には来ないでしょ!フツー・・・


 キャプテンの星出純は、こう言った。


「それは正直厳しいよ。うちの部員たちは、甲子園に出るために野球をやってるわけじゃ


ないからね。身体を鍛えたり、仲間を作ったり、高校時代の思い出を作るためだったり


・・・あとは、子供のころからの惰性とか、ほかにやることがないからってやつもいるし。


そういう連中に(甲子園を目指そう!)と言ったって、誰もついてこないんじゃないかな」


だいたい実力の問題もあるけど、お金の問題もあるでしょ!


 野手の要、キャッチャーの柏木次郎はこう言った。


「あのさ、それはやっぱり難しいと思うよ。気持ちはわかるけど、へたに甲子園なんか


目指したりすると、かえって行けなかった時のショックが大きくなるんじゃないかな?


だったら、初めから大きなことは言わないで、3回戦突破位を目標にしておいた方が


無難だよ」





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それから、一転して声を潜めると、こんなふうに尋ねてきた。


「ところで、おまえ、本気なのかよ?本気でジャーマネをやるつもりなのか?前の


ことはもういいのか?・・・だって、前はあれほど野球を嫌って・・・」


前のことって、なに? なに? 気になる~


 しかしみなみは、次郎のことをジローとにらむと、言葉を遮るように言った。


「誰かに余計なことをしゃべったら、お仕置きしちゃうからね」


「それは、I do not understand.」と、次郎はひょいと首をすくめてみせた。



え!突然、英語?



 最後に尋ねた1年生女子マネ~ジャ~、北上文乃はこういった。


「えっ?あ、はい。甲子園ですか?え、あ、はい。そうですね・・・いえ、あの、別に・・・。


あ、はい・・・」


 そう答えたきり、彼女は何も言わなくなってしまった。





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 結局、みなみの考えに賛同したり、協力を申し出たりする人間は、一人もいなかった。



私のことは嫌いでも構いませんが、AKB48のことは、嫌いにならないでください!



 それでも、彼女はへこたれたりはしなかった。逆にモチベーションを高めていた。


 面白い・・・とみなみは思った。誰にも相手にされないからこそ、逆にやりがいがあると 


いうものだ。


 みなみには、そういうところがあった。逆境になればなるほど、闘志を掻き立てられる


のだ。


 それに、みなみには全くなんの味方もないわけではなかった。このころまでに、彼女は


一つの強力な味方を得ていた。










備考:このお話は、ダイヤモンド社 岩崎夏海著 もし高校野球の女子マネージャーが

ドラッガーの「マネジメント」を読んだら2011年1月26日発行(\1600+税)より、

ご紹介しました。

えっ? つづくかって? 272ページのうち、11ページ終わったとこです。トホホ・・・