フランスが、恋愛大国と言われるゆえんの一つに、理想的な男女の
バランスがあると確信しています。
それは、女性を敬い、守り、大切にする紳士的な男性と、自分の意思を
はっきりと持ち、自立しながらも、男性を立てるしなやかな強さを持った女性
との、絶妙なバランスです。
私の両親も、そうだったのかもしれません。
多くのフランス男性がそうであるように、父は母のことを、よく褒めます。
ファッションやへアスタイル、香りや料理など、様々なシーンで
ことあるごとに褒めるのです。
また、母は専業主婦で、家の中の仕事はきちんとこなしていたのですが、
それでも父は家業を分担し、よく手伝っていました。
そして父は、母に仕事のこともよく話していました。「今日、仕事で
こういうことがあって」と報告をしたり、「これ、どう思う?」とアドバイスを
求めたりしていたのです。そのたびに母は、意見をはっきりと言い、どちらか
というと母の方が強く、「大黒柱」的存在でした。専業主婦でありながら、
きちんと自立していたのだと思います。
でも、いざというときは、母は陰でちゃんと父を立てている。だから
父も、母をさらに大切にすると言う好循環が生まれる関係性だった
のでしょう。
レディ・ファーストも当たり前です。先日、久しぶりに父と一緒に
エレベーターに乗った時、父は私のものも含めてたくさんの荷物を両手いっぱい
に抱えていたにもかかわらず、「どうぞ」と言って私を先におろして
くれました。「こんなときぐらい、先に降りてもいいのに」という状況でさえ、
女性を先に降ろそうとする父の行動に、レディ・ファーストが根付いている
フランスの文化を、改めて感じたものです。
もちろん、日本の男性も、古くから女性を守ってきました。
ただ、日本人男性と比べてフランス人男性がやさしく見えるのは、日本人
男性は、「あからさまに女性に優しく振る舞うのは、どこか格好悪い」という
意識があるためか、あまり言葉や行動で表現する習慣がないだけなの
でしょう。きっと照れ屋さんなのでしょうね。
男性が女性を敬い、守り、大切にする。いざというときには女性が男性を
立てる。これも、男性が女性の美しさを育て、女性が男性の男らしさを磨く
一つの理想形なのでしょうか。
備考:この内容は 講談社 滝川クリステル著 恋する理由 私の好きな
パリジェンヌの生き方 よりご紹介させていただきました。