俺は高校3年生、友人二人と、3人で競馬研究会に入っている。
競馬研究会と言っても18歳未満禁止だから、いつも予想しているだけで、お金は賭けていない。
あらかじめ、過去のデータ、その日の馬場状態、天候、馬の様子などを見ながら![]()
予想するわけだが、時には、あてずっぽうの行き当たりばったりもある。
結果は、当たる時もあるが、外れが多い。当たった時を、ポイント制にして、
友人と競い合うのである。結果、俺は、最近、いつもビリだった。
ある日、下校時、俺はいつもと違う、裏山から、家に帰ろうとしていた。![]()
ちょうど、のびた、ドラえもんの、裏山のようなところだ。
山の途中に差し掛かると、何か動くような気配を感じて、チラッとそちらを見ると、
最初は、プレデターのように、透明ではっきり見ることができなっかったが、
地面に、緑色の血のようなものが、ポトリポトリ・・・
だんだん、そいつの姿が現れてきた。もちろん俺は驚いた。UMAだ。
もっと、おどろおどろしいものを想像していたが、ちょうど、
ミーアキャットと、アメーバピグを足して2で割ったような・・・

人間でも、動物でもない比較的、可愛いげなそいつは、足をイノシシ狩りの
罠に引っ掛けて動けなくなっていた。悲しそうな目で、俺に助けてほしい
と、目に涙を潤ませていたが、瞼は上下ではなく、MIBのように![]()
左右に開閉したから、またまた俺は驚いた。![]()
ワナを何とか、その辺に落ちている、木の破片で取り除くことに成功した。
そいつは、瞼を左右に、ぱちくり させながらお礼を言いたげな様子だったが、
高度に発達した宇宙人は、テレパシーとやらを使って、![]()
言葉は話せないらしい。どうせ聞いてもわからないだろうし。
テレパシーも、俺には伝わってこなかったみたい…![]()
そいつは、頭を、ぴょこんと下げ早々に立ち去った。その直後、
ものすごい竜巻と、黒い影が空の彼方へ消えていくような気配を
感じたが、気のせいだったのか?記憶も消されたのかはっきりしない。あれがUFOなのか。
しまった、デジカメか、携帯で録画しとけばよかった。どうせ、それも消されるかもしれないけど
あいにく、持っていなかった。
ふと、そいつの立ち去った地面を見てみると、ボールペンが1本、落ちていた。
いや~、メーカーはよくわからないけど、ボールペンらしきペンが・・・
手に取ってよく見てみると、普通のノック式のボールペンのようだが、
側面にも、ボタンと、金色のLED,銀色のLEDがあった。
何回も、押してみたが、なにも点灯しない。あいつが忘れて行ったのか、
お礼にくれたのか見当もつかないが、俺は、このペンの使い方のことも、
見当がつかなかった。
家に帰り、風呂と夕飯を早々に済ませると俺は、そそくさと自分の部屋にこもり
例のペンを何気なく右手に持ち、競馬新聞を広げて見ていた。明日の
第3回 東神競馬「いにしえ賞」は「被災地支援競走」として、売り上げの(売得金)の
5%相当額を・・・とある。天気予報は晴れ、馬場良好・・・俺はペンでなぞりながら、記事を読んでいた。
11R
1番 サタディナイトフィーバー
2番 レンタコップ
3番 ブレードランナー
4番 イヤーオブザドラゴン
5番 グッドフェローズ
・
・
・
・
・
9番 グレートウォリアーズに来たとき金色のLEDが点灯した。
知らない間に、俺は側面のボタンを押していたようだ。
次の、10番 ブラックレインでは点灯しない。
一体何の意味があるのか?
11番、12番、13番と点灯しない。
14番 ブルースブラザーズで、また金色LED点灯
ふーむ・・・わけわからん。
それでも、一応、9番と、14番に印をつけておいた。![]()
二日後になって、友人のキリギリス(あだな)が、![]()
「おい!昨日の11R 1着 グレートウォリアーズだってよ!ちょっと、聞いた?」
すると、もう一人の部員、なっち(もーむす)が、![]()
「2着は、ブルースブラザースだってさ、ゲッツ!これで、私がポイント、トップよ!」
と言うではないか!俺は耳を疑った。![]()
早速家に帰り、もう一度今日の競馬新聞を確認した。
1着 9番 グレートウォリアーズ
2着 14番 ブルースブラザーズ
馬連9-14 2200円
とにかくあのペンの光ったところは、当たっているではないか!
100円が、2200円に・・・
ひょっとしたら、このペンは・・・?
その後も、いろいろ試してみたら、どうやらこのペンは、自分の予想したいことを
頭に抱き、ペン先をそちらに向け、側面のボタンを押すと、
優秀な場合は 金のLEDが点灯
並みの場合は 銀のLEDが点灯
それ以下の場合はどちらも点灯しないようなのだ。
確信を深めた俺だったが、部活の仲間には秘密にすることにした。
だって、パニックになるだろうし、それに手柄を独り占めしたいのもある。
なっちは特に、矢口ちゃんの結婚のこと、気にしてるようだし・・・![]()
次の日曜日、俺は、親せきの省吾おじさんと一緒に競馬場へ連れて行ってもらった。
18禁だって、100円出せば、入場だけはできる。保護者同伴かもしれないけど・・・
第1レースから、例のペンが予想した馬券を、小遣いで省吾おじさんに
買ってもらうことにした。少しだけど、お年玉の、残りがあったので・・・
第1レースは、3番 ペットセメタリー と 6番 ニューヨークニューヨーク だな。
とりあえず 3-6 1000円
「えっ? 高校生の君が、1000円もいいの?」
省吾おじさんは、不安そうな顔をしていたが、100円ずつ ちまちまとやってられないだろ!
![]()
レース結果は、予想どうり、3-6 1640円 1000円が 16400円になって帰ってきた。
「わお!なんてこったい?ビギナーズ、ラッキーだな、こりゃ!」![]()
それを言うなら、ビギナーズ・ラックだろ。
省吾おじさんは、自分の馬券が、外れたこともあり、悔しがったが、
そんなこと俺は、いちいち構っちゃいられない。
続けて、第2レースは、7番 フルメタルジャケット と 9番 チャイニーズゴーストかな。
とりあえず、また1000円
結果は、予想通り 7-9 520円
1000円が、5200円になって帰ってきた。
その後も、1000円づつ馬券を購入していったが、連勝、連勝で
こうなると、おじさんも顔が、赤くなったり、蒼くなったりと色の変化が激しくなり、
興奮状態に・・・、周りも騒ぎ出した。
でも、おじさんも、途中から、俺の予想の馬券も買いだして、損はしていないようだ。
俺は勝負に出た。
「最終レースに全部!これで、今日はやめるよ!おじさん!」![]()
「えっ? 全部って、いくら?」
「10万円ぐらいかな?」
「まじすか? 10万円も? いいの?」![]()
「だって、10万円使っても、もともと、ここのお金だし・・・」
「う~ん、わかった。おじさんも、儲かってるから、それに従うよ」![]()
省吾おじさんは、そのまま馬券売り場へ走って行った。
そのあとの説明は省略するが、帰りに警備のガードマンが付いたことだけは、![]()
報告しておこう!
その後は、携帯や、ネットで、馬券を購入することにした。
だって、どう見たって、あの状況、やばいっしょ!
それに、、高校生が、競馬場うろちょろするのもねぇ、いかがなものかと・・・
・・・・・・あれから、15年、今では、ロンドン市場、ニューヨーク市場、北京市場
東京上田ハーローで、着実な銘柄の株を大量に保有し、
10個の石油会社、ホテルの頭文字は俺からとったものだ!
世界100か所以上に、別荘がある。
外車なら、ざっと1000台かな?数えたことないよ!クルーザーにゴルフ場・・・
世界各国に俺の会社がある。これ読んでくれてる君のところも、俺の会社かもよ・・・?
ロレックスに、ルイビトン、アルマーニ・・・もう、飽きてきたなぁ・・・
そんな俺には、もちろん
妻がいる。
妻の由紀子も、俺が、例のペンを使って
判定して結婚したのだ。スタイルも抜群で、東大出身で、超エリート会社の財閥の
お嬢さんだ。もちろん美人に決まっている。![]()
ある日、俺は、例のペンを持って妻由紀子に向けてみた。![]()
「あら、やあねぇ。それね!例のペンって?」
もちろん、金のLED点灯だ。
「それ一度、あなたに向けてやってみせて!」
妻の由紀子が言う。![]()
「俺は、俺は金色に、決まっているだろ!」
自信はあったが、由紀子がしつこく言うので、恐る恐るペンの向きを変えて
俺は、自分に向け、側面のボタンを押した。
金色のLED点灯
俺は、ホッとし、胸をなでおろした。
「おかしいわね?私、あなたが、そんなに優秀だと思えないけど…」
「今度は、私にやらせて・・・」![]()
妻の由紀子はそういって、強引にペンを、俺から奪い
俺に向けて、側面のボタンを押した。
すると、なんと、
銀色のLED点灯ではないか!
「なぜだ?どうしてだ?」
妻、由紀子が言う![]()
「だって、あなたは、このペンを持っていれば優秀かもしれないけど、
ペンを持っていなければ、並みの人と言うことよ!」
俺は唖然とした。なんということだ!
このペンの、乾電池はいつ切れるんだ?と言うのも前から気になってはいたが、
そんなことより
いずれ、このペンを取り返しに、エイリアンが
俺のもとを訪れるかもしれないし・・・
![]()
まあ、今までの、財産があるから何とかなるか?・・・・・・
たく> 備考:この作品は、昔読んだ短編小説を、思い出しながら作成しました。
ちさと> えっ? 創作じゃ、なかったの?
