三次元への興味が薄れかけな俺を引き付ける”引力”
推し人 漫画家・映画監督 杉作J太郎
AKB48に興味を持たないようにしていた
まだAKB48に関して俺はほとんど何も知らない。
2年ぐらい前にテレビ東京の「今夜もドル箱!」と言う番組で秋元

才加さんの隣に座ってパチンコをした。
それがAKB48との出会いだった。
AKB48に関する知識が全く
無かったので収録前夜、AKB48ファンの友人に電話した。
「いい子です。体育会系で、しっかりした、すごくいい子です!」
話は予断ぽくなるが余談ともいえない。俺がAKB48のことを
ほとんど知らなかった最大の理由は、俺がモーニング娘。を
初めとするハロプロのファンだったからだ。
だった、とわざわざ過去形にすることもないが、俺の推しメンバーで
あった後藤真希さんと加護亜依さんが新しい場所で活動をし始めたため
コンサート会場に行くこともなくなっていた。が、ハロプロを通じて
知り合った友人が俺には多すぎる。義侠心からAKB48に興味を持たないように
心がけていたのは事実である。
ちなみにそのパチンコ番組の収録前に控室で俺の携帯電話が鳴った。
その着メロを聞いた司会の山崎まさやさんは「相変わらずモーニング
好きですねえ!」と言ったが、その着メロはモーニング娘。ではなく「人造人間キカイダー」
のアバンの曲だった。
つまり当時のオレにはまだハロプロどっぷりのイメージがあり、
収録本番時にもそうした会話が若干あった。だが、そんな俺に対して秋元さんは
距離を置くでもなく、優しい、すてきな対応をしてくれた。そのひとつ
ひとつは前夜電話で聞いた友人の言葉以上にしっかりしていて、明るかった。
礼儀正しかった。俺は彼女ほど礼儀正しい芸能人を一人しか知らない。
ここであえて名前は出さないが、男の中の男だ。
AKB48おそるべし!人気はフロックでもなんでもない!俺とAKB48の
出会いは唸るような賞賛からスタートした。
なお、その前夜の電話の最後は友人のこんな言葉だった。「あとエーケービー、
フォーティーエイトですからね。アキバじゃないですから。
くれぐれも間違えないでください」。
彼がそう付け加えたのは、電話で俺が最初に「アキバ」と言ったからだった。
そうか。別に秋葉原に、オタク文化に特化したアイドルと言う訳でもないんだな。
秋元さんのしっかりしたムードもあり、俺はぼんやりと
そんなことを認識した。
不覚にも熱い涙がこみ上げてきた!
その後、月日は流れた。
友人からは劇場にAKB48のライブを見に行きましょうよと誘われていたが、
俺はそれどころではなかった。俺に人生2度目のアニメどっぷり時代が訪れていた。
毎日、寝る間も惜しんでアニメを見ていた。世の中にこんなに面白くて、こんなに優秀な
コンテンツがあったというのに、それと無縁で生活してきた昨日までの自分の
人生が色あせた。現代のアニメ、それは男が命をかけるにふさわしい娯楽。
結論を出すには時間はかからなかった。秋葉原にもちょくちょく行くようになった。
そんなある日、また友人からAKB48を見に行かないかと誘われた。
秋葉原と言う街自体の好感度もあり、俺は彼の誘いにうなずいた。
チームBの公演だった。
衝撃だった。初めて聞く曲、見るパフォーマンスばかりだったが、
最後にメンバー紹介を兼ねた曲が披露された時には不覚にも
暑い涙がこみ上げてきた。なんなんだ、これは!
信じられないほどの情熱、そして燃焼。俺の印象を一言でいえば
「リスペクト」だった。
終演後、その友人がメンバーに挨拶して行くというので俺も同行した。
「何人か、ものすごくアニメが好きなメンバーがいますよ」
今思えば、友人の言葉に俺は逆に油断したのだ。
アニメを好きなことはいいことだが、とはいってもこれだけのパフォーマンスを実現しながら
テレビに出てグラビアに出て学校にも行ってるのだから限界はあるだろう。
もし一言、二言、話ができたら軽いところで・・・。俺はそう考えていた。
AKB48と言ってもそれはたまたま劇場が秋葉原にあるだけ。読み方もエーケービーではなかったか。
ところが短い。本んの短い時間だったが、彼女たちの口から出てくる言葉は
俺の思い込みと違っていた。そして、好きなアニメはなんなんですかと言う
俺の問いに対して渡辺麻友さんの口から出た言葉は、
「前期は~」
そして
「今季は~」
だった。
俺はステージを見て感激と同時に、打ちのめされた感でいっぱいだった。
大人たちだからその場で顔には出さなかったが、俺は頭の中で何度も
つぶやいていた。
「負けた・・・負けた・・・」
アニメを好きな気持ちは勝ち負けではないと思うが、彼女たちに
比べて俺は絶対的に暇である。それでも放映された過去のタイトルを
DVDで追いかけていくのが精いっぱいで、放送中のものを毎週見ていくのは難しい。
いや、もちろん無理ではないのだが、その時は前期放送分は途中で脱落。
まああとでDVDで見ればいいと思っていたし、今期放送分はまだ1本も
見てない状態だった。
俺は後日、友人に言った。
「彼女たち、本当にアニメが好きなんだね。俺なんかまだまだだよ・・・」
すると友人がぽそりと言った。
「らぷたんもすごくアニメが好きなんですよね。まゆゆのこと。
見てないって怒ってたな!」
らぷたん?
恥ずかしい話、俺は三次元の女性に対して今も日に日に関心が薄く
なりつつある。俺の評価軸は現在、アニメがすべて。らぷたんこと多田愛佳さん
のステージは未見だが、これだけは言える。
秋元才加さんも、チームBも画期的なプロフェッショナルだったことからして
きっと彼女もプロフェッショナルなスーパーアイドルにちがいない。そして
そんなアイドルとしての活動をしながら次から次に製作されるアニメを
見続けることは並大抵の好きさ加減でできることではない。
そして聞けば、らぷたんはまゆゆと仲良し同士だというではないか。
アニメ好きの仲良し同士で、アニメを見る量が足りないと怒るスーパーアイドル。
その絶妙なピンとのずれ具合に萌えなかったら男じゃない!
さらに、らぷたんはかなり強力なツンデレキャラだという。文章だから
「らぷたん」なんて気安く書いてますが、目の前で言おうものなら、
「何よ。気安く呼ばないで」
竹達彩菜さんばりのキツイ返しが待っているのではないか?
三次元の女性に興味が薄れはじめていた俺ですが、
なんかたまらなく引力を感じる・・・。
そんな今日この頃なのです。アニメだったら第一話終わり。
エンディングにオープニングテーマ曲が流れる回ですね。
備考:この記事は、別冊宝島 秋元康 公認 AKB48 推し認定証 から借りました。