夕方、客が来る少し前の料理屋の
玄関先は、静かで気分のよいものです。
そこで、目につくのは、
ちょこんと盛り上げてある塩。
夕闇の中に、白く浮き上って見えます。
この塩は「清め」のためのものと
勝手に思っている人が多いようですが、
そうではなく、お客がたくさん来て
くれるようにという
「おまじない」なのです。
昔、中◇の皇帝は、「36の後宮には
3,000人の淑女装いをかざり」
と言われるほど
多くの「めかけ」を囲い、
牛舎に乗って、夜ごと
それら「めかけ」の屋敷を
訪ねていたわけです。
「めかけ」のほうからすれば、
皇帝になんとか来てもらいたい。
しかし、3,000人は、オーバーだとしても、
人数が多いので、競争率が高すぎる。
そこで、ある頭のいい「めかけ」
(の屋敷の者)が一計を案じ、
玄関に塩を、
盛り上げておいたのです。
すると、案の定、
屋敷の前で、牛舎が止まり、
その夜は皇帝の寵愛を
受けることができました。
草食動物は、常に塩分をとらなくては
生きていけません。
つまり、牛は塩が大好物
なのです。
だから、盛り塩の前で
ピタリと止まって動かなくなって
しまったわけです。
この故事から、来てほしい人(お客)を
招き寄せる「おまじない」として、
玄関に塩を盛るように
なったのです...。
備考:この内容は、
発行:三笠書房
編者:竹内均
「時間を忘れるほど面白い雑学の本」
より紹介しました。