西欧近代史(3)教皇のルネサンス 人間を表現する

 ルネサンス期には人間を描いたり彫刻する場合、「人体」に目が向けられました。マザッチオ『楽園追放』では当時の倫理観が影響し、アダムは男性モデルを裸体にして描いたのに対し、イヴ用の女性モデルを手配することができませんでした。その結果、アダムに比べてイヴは写実性に欠けてしまいました。マザッチオは当時のアプロディーテー像から描いたそうです。ちなみにボッティチェリが『ヴィーナスの誕生」を描いた際もメディチ家が所有するアプロディーテー像もとに描いています。
 
 ダ=ヴィンチの偉大さはたくさんあります。それをキリスト教の自然観という面から考えたい。ルネサンス期には「神中心から人間中心へ」という人文主義が生まれました。神にのみ注目していた社会から人間に着目する社会への転換でもあります。その文脈からダ=ヴィンチを見ると、人体実験を行い忠実に絵画に表現していく彼の姿勢は「人間中心」そのものです。「目に見える形で人間中心」を実践したダ=ヴィンチたちの作品を見てルネサンス期を生きた人々の意識を変えていったのでしょう。その広がりが次の宗教改革につながっていきます。信仰という「目に見えない形で人間中心」への発展です。