
【エーゲ海】地域は,山が海岸に迫り平野が少なく,陸地よりも海上による交通が容易であった。青銅器時代に入り,穀物栽培の定着と【オリーブ】や【ぶどう】などの栽培の開始によって独自な社会発展の基礎が築かれ,オリエントと交易を行い,世界最初の【海洋】文明を生んだ。
【エーゲ】文明の前半は,【クレタ島】がその中心であったので今日では一般的に【クレタ】文明と呼ばれている。この文明は歴史的に長い間忘れられていたが,【エヴァンズ】が1900年以降この島の【クノッソス】宮殿(別名を【ラビリントス】という)の発掘を行い,古代ギリシア人の歴史家が最初の海上支配者であるとした伝説上の王【ミノス】の名から【ミノス】文明とも名付け,歴史的に存在を明らかにした。
エーゲ文明の後半である【ミケーネ】文明も伝説上のものとされていたが,19世紀の後半に【シュリーマン】が,【小アジア】の【トロヤ】,ギリシア本土の【ミケーネ】などを発掘し,【ホメロス】の叙事詩の【トロヤ戦争】の舞台となった文明の存在を証明した。1952年にイギリス人の【ヴェントリス】が言語学者の協力を得て,【線文字B】の解読に成功した。しかしこのミケーネ文明も前【12】世紀になると崩壊するが,その原因は明らかではない。【鉄器】を持った【ドーリア】人の移動の波がミケーネ文明を崩壊させた,という説明は考古学的には現在は否定されている。
とにかく,ミケーネ文明の崩壊と同時に線文字も使われなくなった。前【8】世紀に新しい【ギリシア】文字が発明されるまで,ギリシア世界は無文字の社会であり,それ故にこの約【400】年間をギリシア史上,【暗黒時代】という。