どうも、運用調査担当です。

私の得意分野が半導体であり、みんなに半導体のことを知ってほしい!と思い、インバーターとそれにかかわる半導体について解説したいと思い記事にしました。

皆さん、知ったかぶりで「VVVFインバータが云々」「IGBTよりSiCだよな~」とか言っちゃってたりしませんか?

是非、この記事読んで、半導体オタクを目指しましょう!

 

この記事を作成するにあたり、

・最新モータ技術の全てがわかる本  ナツメ社

・パワー半導体の基本と仕組み    秀和システム

・電気電子工学シリーズ 電気回路  朝倉書店

・吉田准教授、佐道准教授の講義内容

・Wikipedia

・そのほかネットの記事

を参考に作成しています。私自身が間違って解釈してしまっている部分も多々あると思います。その時はごめんなさい。

 

 

インバータ論と称して、今回を電気回路及び制御法、次回を半導体デバイス論として紹介していこうと思います。

 

電気回路及び制御法

 

■インバーターってなに?

・インバーターとは電気を直流から交流に変換する装置のことです。

 

■なんで交流から直流に変換するの?

・電車を動かすモーターに交流の電気が必要だからです。

 

 一昔前は、モーターは直流モーターが使われていました。小学校の理科の実験で作ったアレです。電池で動作させることが可能なため、機器の構造が簡単で済みましたし、制御も容易でした。しかし、ブラシと整流子という消耗が激しい部品を用いるため、保守・メンテナンスが大変というデメリットがありました。

 

 そこで、交流モーターの幕開けです。交流モーターは制御が難しいですが、ブラシがないため、メンテナンスフリーに貢献しました。また、機器自体の小型・軽量化にも成功し、モーター界では大きな飛躍を遂げました。

 

形式 0系 300系
出力 185kW 300kW
質量 876kg 390kg
電動機形式  直流直巻電動機 交流誘導電動機
  (直流モーター) (交流モーター)

 

 しかし、ここで問題になるのはどうやって交流を生み出すかです。ここでインバーターの出番です。

 

■どうやって交流を生み出すの?

 

図1

上図は直流回路を示しています。電流はAからBに向かって、右向きに流れています。

 

図2

上図のように、スイッチ4つ追加すると交流回路になります。S1とS4を導通させて断線、S2とS3を導通させて断線を繰り返すと交流が出来上がります。

 

図3

電流が左向きと右向き、交互に流れています。このようにして交流回路が完成されます。

 

図4

電圧特性は上のようになります。

 

■交流の形式?

 架線に流れている電流は単相交流、交流モーターに使われる電流は三相交流と呼ばれるものです。架線から得た単相交流を直流に変換し、さらに直流から三相交流へ変換します。

 

■三相交流ってなに?

・単相交流を位相を等間隔に3つずらして重ね合わせたものです。説明が難しいので別の記事が参考になるかもですが、頑張って解説します。

 普段我々がみるのは単相交流です。これは家庭用コンセントに用いられています。

 これに対し、送電線に用いられるのが三相交流です。交流モーターもこの三相交流を流し込んで動作させます。

 

図5 「三相交流 - Wikipedia」 より

縦軸が電圧(または電流)、横軸が時間です。

黒の波形だけ、もしくは赤の波形だけ、青の波形だけでできるのが単相交流で、黒赤青三つ合わせて三相交流と呼びます。

交流モーターは原理上、三相交流が必要なのです。

これらの解説は次の動画が分かりやすいです。

 

 
 
■三相交流の回路は?
図7
上図は単相交流の回路です。図2と見た目は変わっていますが、回路自体は一緒です。
(S3とS4の間にある十字の部分は接続してないのですが、表現が難しかったのでご愛敬...)
 
図8
上図は三相交流の回路です。スイッチが6つに増えました。次に動作を説明します。
図9
図10
上図のように6つのスイッチが交互にON/OFFを繰り返すことで三相交流の回路が完成されます。
R1の抵抗に注目してみましょう。1,2の時に下に流れ、3,4,5の時に上に流れ、再び6,1,2の時に下に流れています。
R2の抵抗や、R3の抵抗も同じように電流が流れていますが、位相がずれていることがわかります。これにより三相交流が満たされるわけです。
 
■電圧を滑らかにするには?
・PWM制御法を用いる。

図4 再掲

図5 再掲

 図4のような四角っぽい波形のことを矩形波と呼びます。矩形波では、時間軸で見ると一瞬で電圧が変化するため、乗り心地が悪くなったり、モーターに負担をかけてしまいます。このため、図5のような滑らかな波形(正弦波)が好ましいです。矩形波を正弦波風に変換する方法としてPWM制御法があります。

 

このPWM制御法については今度更新します。

 

以上です。お読みいただきありがとうございました。