田舎の人間は、東京に対し、あこがれを持っている。

 

だから、東京に住んでいる人間に対し、なんとなく尊敬の念を持っている。

 

盆や正月に、親せきや同級生が東京から帰ってくると、歓待する。

 

東京にいる人は、なんとなくあか抜けて見え、輝いて見える。

 

田舎にいる人は、東京の話題に羨望のまなざしでみている。

 

しかし、東京にいる人は、実は大変なのだ。

 

かつて、田舎にない娯楽がたくさんあったが、今や東京のアドバンテージが少なくなっている。

 

家賃は10万円以上と高いし、都内の新築マンションは、1億円を超える。

 

東京で出世する人は、ごく一握りで、大半は定年まで、満員電車で通勤。

(最近は、山手線がすいているように見えたが、それはそれで寂しさを感じる。)

 

定年間近になると、自分はどうなるのかと、不安でいっぱいだ。

 

私が学生の頃は、巨人のホームゲームは、後楽園球場のみだったが、

 

今や、巨人も地方をドサ周りをしている。江川や西本が全盛期の藤田巨人の頃は、

 

東京にいても、チケットが手に入らなかった。

 

書籍も、三省堂や神保町まで行かなくても、ヤフオクやアマゾンで手に入る。

 

音楽もユーチューブなど、ただ同然で聞ける。

 

昔は、タワーレコードで輸入盤を買い求めて、優越感に浸ったものだ。

 

東京になかった店が、今や地方に進出だ。

 

東急ハンズ、ロフトも地方に進出。東京にしかないから魅力があるのに。

 

東京の洋菓子も、東京まで行かなくても、ネットで手に入る。

 

2000年くらいまでは、サラリーマンの昼食は外食中心で、1000円を超えていた。

 

今は様変わりして、安い弁当屋が跋扈している。

 

東京に住んでいるからと言って、皆金持ちではないし、いいことばかりではないのだ。

 

東京は、カネがないと何もできない。

 

久しぶりに会うと、東京の同級生は、疲れ切っているように見える。

 

生活が苦しいのか、土産も小さくなり、

 

田舎では、ご馳走になることを当たり前だと思っている。

 

でも、妙なプライドがあるから、弱音は吐かない。

 

東京は永久に不滅だと思っていたが、そうでもないな。

 

寂しい限りである。