モスクワの辻馬車 内側からあけられた。ともしびがサッと広く歩道へさした。 歩道に沿って二台辻馬車が停っている。後の一台では御者が居眠りしていた。前の御者台に黒い外套を着て坐っていた御者が扉の音で振向いた。馬具の金具が夜の中にひかった。