父がかつて元気で家にいた頃

酔うといつも 俺が死んだら

こいつだけには連絡してくれ、と

言っていた同姓の友達が1人だけ居た



死んでからバタバタしていた時

母が急に思い出してその人の名刺を出してきた

私が電話をかけると、とても驚いて

電話口で涙を流してくれた

そして後日、私に電話をしてきて

お香典を受け取って欲しい、と

密葬だし丁重にお断りしたんだけど

どーしても、とのことなので

時間を作って会ってきた

私も子供の頃に何度か会っていて

とても記憶に残っている

その人は父の性格を良く知っていて…

会わずにいた数十年の話や

晩年の話をした…

死んだ人間を悪く言うのは

良くないかもしれないが

事実を淡々と…女がいた事、借金を残して逃げた事

家を競売にかけられて失くした事

その借金を兄が払っている事

子供の頃にずっと母や子供達に暴力を振るっていた事

感情を含まずただ事実のみを話した



晩年以外のことは知っていて

あんな良いお母さんなのに

あいつには勿体ないといつもあいつに

言ってたんだよ、と

もっと早く知ってたら怒鳴り飛ばしてやったのに、と

また号泣してくれた…



たった1人でも死を悼んで泣いてくれる

そんな友人が居てくれて



父は知らずに逝ってしまったけど

哀れな気持ちも拭い切れないけれど

好き勝手に生きて

案外、幸せだったのかもしれない

と、少し思えてきた

色々な事が人生には起こる

日々の感謝を忘れずに

前を向いて歩いていこうと思う


感謝、感謝。