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小説タイトル「ワールドマップ」

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タカハシは柚樹に向かって説明し始めた。


「そもそも私たち標識は人のために作られました。
四六時中、私たちは人のために働き続けます。
路地裏や、高速道路、十字路に複数交差点・・・。


様々なところで私たちは働いています。
しかし、その労働に見合ったプライベート、給料がはまったく支払われず、
人に対して怒り出したものがいました。」


柚樹はたまらず声を上げた。


「ちょっと待って!自分たちにはそもそも自我があるのが

当たり前だと言う風に言っているけど、
人によって作られた”物”なんだから、
そもそも感情とかそういったものってないでしょう!?」


そう、柚樹の世界ではものは意志を持たない。


例えば、机から消しゴムを落としたとき。
彼らは「痛い」も言わないし、ずっとそのままの体勢を維持している。


文字を消すときは自分自身の身体を消耗し、
命をかけて消している。


その事例はほとんどの”物”にたいして当てはまる。


しかし、タカハシが言っていることは柚樹が知っている世界ではなかった。


「ええ。もちろん人間の世界の表舞台では、今でもそうなっているはずです。」

「表舞台??」


「国民には『知る権利』があると言いながらも情報操作をしているのはご存知ですか?

私たちの存在もまた情報操作によって、開示されていないのです。」


タカハシが言うにはこういうものだった。


2013年12月25日のクリスマスのこと。


全世界中から人がぽつりぽつりと消えていった。


その中には某有名歌手もいたりして、
世界中のニュ-スがその話題で持ちきりになった。


彼女の名前はJUJU。


美しいプロポーションを持ち、肩までかかる金色のショートカットが特徴だった。
毎回彼女がテレビに出てはその美貌に男どもが酔いしれ、
そして彼女の美声に魅了されていた。


CDは毎回ミリオンセラー、一番多いときはあるアルバムが2億枚売れたこともあった。


それほど有名な彼女がいなくなった。

世界中で大ニュースになった。
彼女がいなくなって泣き叫ぶもの、
彼女がなくなったと思い込みマンションの屋上から飛び降りたもの・・・
彼女がいなくなって世界はマイナスの方向へ傾いた。

各地で報道されていたニュース番組で報道されていた彼女のニュース。
彼女がいなくなった現場には一つの標識が倒れていた。


彼女がいなくなる1週間前、定点の監視カメラにその標識に触れた人物がいた。
ニット帽を被っていて黒いサングラスを掛けていた。


その男は、持っていた手提げ袋から注射器を取り出し、
そして標識に打ち込んだ。


一般的に考えて注射器では鉄のかたまりである
標識に打ち込むことなんて出来ないのだが、


彼は平然と打ち込んだ。


それが標識界で革新をもたらした。
標識として描かれた人形の絵には自我が芽生え、


そうして5年経った今、標識界は発展を遂げた。


そして、標識界では人手不足が起きた。
自我が出来たために、仕事をさぼるものや、
人間界に降り立つものなど様々な現象が起きた。


そのため、人間界では交通ルールが一時期効かなくなり、
各地各所で交通渋滞、交通事故が相次いだ。


そこで、標識の長チェフは決めた。
外の人間世界から人を連れてこようという計画を定めた。


それを決めたのが、2013年のクリスマス。

各地で標識に吸い込まれる瞬間が目撃され、
次々と人がいなくなっった。

そして、歌手JUJUでさえも・・・。


政府は標識に自我があるのではないかと認識し、
標識界の長チェフを呼び出し、
世界会議が行われた。


そして、世界で初めて前代未聞の、
「標識に自我がある」ことを認め、
標識にも人権を持たせることを決定した。

そして、この情報は裏社会のみ保有するものと定められた。

表世界に公表してしまっては、国民が混乱をして暴動になりかねない
といったことからである。


これがタカハシが語る概要だった。


「今でも、私たちに命を吹き込んだ彼が何者なのか、
そしてどこにいるのか未だに見当もつきません。」

タカハシは一息つくと、柚樹の反応を見た。


柚樹は困惑した表情を見せながらも
今までの状況と話を照らし合わせて
理解を深めているようだった。


TO BE CONTINUE