ったく…何だったんだ?
やっぱり、ちょっと変わった子だな…あのユジンって子…。
ジヨンが別れて正解だっ…っにしても、可笑しな事を言う…ジウンとジヨンが?…ジヨンがジウンを好き?……どう考えてもあり得ない事だった。
だって、ジヨンは弟みたいな存在で…俺とジウンの付き合い始めから知っている…ジウンだって…あいつを弟みたいに可愛がってて…ふっw…あり得ない。
〈「オッパ…信じてるからといって安心はしない方がいいと思います」〉
…頭では否定しながらも、心のどこかにユジンの言葉がササクレみたく気になっていた。
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携帯の着信のライト…画面に表示される[ドンウク]の文字。
「はい」
「あ…ジウン?…何してる?」
「何って…残業だけど…」
「こんな時間に?」
「…休んでたから仕事溜まってて…」
それに、昼間はヒョンスさんの一件で仕事どころじゃなかったから…ドンウクには言えないけどっ…。今にも殴りかかりそうになってたドンウクを思い出す。
「そっか…もう体いいの?」
「うん…」
会話がどこかぎこちなくなる自分がいた。
「いつ、おじさんのお見舞いに行こうかなぁ~」
「あ…今週末…治療方針を決めてくる…その後になら…」
そう…私には気が重い事がもう一つあった。
「どうするか決めたんだね?」
「うん…告知はしない…治療もしない…」
「そっかっ…なら次の週に行こう」
「うん…」
「ジウン」
耳元で響くドンウクの声…。
「大丈夫か?」
辞めてよ…そんなに優しくしないでよっ!
「…ジウン?」
「…大丈夫…」
あなたを裏切ってる私に、そんな優しく甘い声で囁かないで…。
「仕事…終わらせなきゃ…またねっ」
気持ちを悟られる前に電話を切った。
ごめんなさい…。
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「母さん…じぁ、いいね?」
珍しく母と意見が合い主治医に父の治療方針を伝えた。
「本当にそれでいいんですね?隠し通さなければならない…ご家族も辛くなりますよ?」
「はい」
この間も今も出した結論は一緒だった…先生から父の病名を聞かされた時…告知も治療もしないっと漠然とそう思った…この一週間…気持ちが揺らいだ事もあったけど…ジヨンの言葉がこの決心を硬いものにした。
〈「ジウン…許さなくてもいい…忘れろ」〉
それまで、この選択肢を選ぶ時に感じてた父の命を自分が握ってる優越感は薄れていた。
今はただ、父に残りの時間を病気と言う悪夢を感じずに生きて欲しい…そう思っていた。
〈「許すのは難しいかもしれない…だけど人間、忘れる事ができるんだ…だから忘れろ…許す努力より忘れる努力の方が簡単だよ」〉
ジヨンの言葉が頭の中でこだまする…ジヨン…私、やってみるよ…許す努力…。
「…分かりました…では本人には難治性の胃潰瘍っと言う事で…悪いものではないので手術はしない…薬と食事…そして貧血が進んでるので、その治療を…っと言う事でいいですかね?」
「はい」
隣で母も小さく頷いた。
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「父さん、具合どう?」
先生と話した後、病院の外で時間を潰して戻ってきた。
「よう♬ジウン」
キン先生から、嘘の病名を告げられた父が明るい顔で迎えてくれた。
「ご機嫌ねっw」
「まぁな♬胃潰瘍だってよw」
「胃潰瘍?」
初めて聞くような振りをする。
「あら?そう…悪いものじゃなくて良かったねっ…日頃の不摂生って所かしら?」
「だなっw…悪いものじゃないから切れないって医者は言うし…長くかかりそうだよっ」
文句を言いながらも、どこか安心した表情を浮かべる父を見て、選択肢は間違ってなかったっと確信する。
「長くかかるからって、看護婦さんナンパしちゃダメだからねっw」
我ながら嘘が上手だと思う。
「うるさい!www.」
そう言って父がテレビを付けた。
あっ…!
人気歌謡…。
そこには、ステージの上を楽しそうに踊って歌ってるジヨンがいた。
ソロ活動の忙しいジヨンとは、あれから会っていない…毎日のように送られてくる日常の写真と、短いメール…それが私に元気をくれていた。
ふと…視線を感じて父を見た。
あの、私を見通す目…。
「なっ…なに?」
「…辞めとけ」
「…だから何が?」
「こいつは辞めとけ!」
「!!何言ってるの?」
「ドンウク君の何が不満なんだっ!あんないいヤツ他にいないだろ?!」
「帰る!」
「ジウン!」
帰ろうとする手を掴まれた。
ゾクッ!
「分かったな?こいつは絶対にダメだ!」
何よ!
何でも知ってるような事言っちゃって…。
「離して!」
病気の父の手はいとも簡単にほどけた。
あ…こんなに軽かったっけ?
振り返らず、そのまま勢いよく病室を出た。
廊下で売店から戻って来た母と会う。
「あれ?ジウン、もう帰るの?」
「…来週、ドンウクと来るから…父さんにそう言っておいて!」
落ち着け…私…。
こんなんで取り乱してどうする?
まだ、嘘は続けなきゃいけないんだからねっ…。
またもや父に見抜かれた…自分の気持ちは決まってるのに、いまだ言い出せないジレンマで、モヤモヤした気持ちを抱えていた。
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