「おはよう…」
眠い目を擦ってジヨンが起きてきた。
何時の間にか、朝食を一緒に摂るのは日課になっている。
お互い帰る時間はバラバラだし…顔を合わせられるのは朝しかなかった。
「ん?どうした?」
「あ…うん…夕べ遅くにスンリが帰ってたみたいなんだけど…食事に誘っても返事なくって…」
「寝てるんじゃね?」
「そうかな…」
どんなに遅く寝ても、朝食には必ず顔を出し、どんな料理も美味しそうに食べてくれるスンリ…夕べの様子が気になった。
「後で部屋に行ってみるよ。どうせ今日から仕事だし」
「…うん…」
夕べの事…ジヨンには言わないでおこう…そう決めていた。
「ユノヌナ所に行くんだろ?」
「…うん、病院行ってから…」
「病院?!」
「あ…消毒だよ」
「何だ…そうか…」
安心したように胸を撫でおろすジヨンには悪いけど…ちょっとケガした右手で気になる所があった。
「送っていこうか?」
「ううん…大丈夫だよ」
朝食をとり、後片付けをジヨンに任せて出かける支度をした。
「ジヨン…じぁ~行ってきます」
「あ~、行ってらっしゃい♬」
ご主人様と一緒に玄関まで送りに来てくれたガホの頭を撫でる。
「行って来るねガホ。帰ってたらお散歩行こうね」
チュッ!
お散歩って言葉に反応してシッポを振るガホの頭を撫でキスをした。
「あ!ズルい!!!」
「え?」
「ガホ~!おまえはあっち向いてろw」
そう言って私を引き寄せ、夕べの事を思い出させるかのような激しいキスをした。
「んっ/////…もぉ~!行けないでしょ!」
「ふふふw俺はその方が嬉しいけど?」
「もぉ!行ってきます」
「行ってらっしゃーい♬♬」
ご機嫌なジヨンに見送られて家を出た。
*********************
「行ってらっしゃーい♬♬」
ヒロを送り出したその足でスンリの部屋をノックした。
返事はない。
「入るぞ」
そっとドアを開ける。
外は明るいのに、部屋のカーテンは閉められ暗いままだった。
足にビンらしき物があたる…。
何だ?
ベッドに人影があった。
「スンリ…」
カーテンを少し開けると部屋の様子が分かった。
お酒のビンが散らかっている。
ビンを踏まないように用心しながらベッドに近づいた。
「スンリ」
俺に背を向けて横になってるスンリに近づいた。
ヘッドホンを付けてる。
これじゃ~いくら呼んでも聞こえるわけないよなっ…。
ヘッドホンの片方を外すとスンリが驚いて飛び起きた。
「わぁ!!…ヒョンか…」
「俺で悪かったなっ」
「い…いや…ヒロは?」
「出かけた。朝食におまえを起こしたけど返事がないって心配してた」
「あ…うん…ヒロ…他に何か言ってた?」
「いいや」
「そっ…」
スンリの安心して胸を撫で下ろす表情を見逃さなかった。
スンリをベッドに組敷き馬乗りに跨った。
「ヒロに何した?」
「なっ…何もしてないよ」
「本当は?」
「…本当に…」
「言え!」
「…キスした…」
視線を外し目を伏せるスンリに顔を近づける。
「どうだった?」
「ど…どうって…」
「良かっただろ?」
「…ヒョン?」
「悪いけど、ヒロは俺の物だから…あの溶けるようなキスも…ふっw…あの甘い声も…滑るような肌も…」
自分が独占欲に支配されて行くようだった。
「夕べで分かっただろ?」
「……。」
黒い瞳で真っ直ぐ俺を見るスンリ。
「ヒロを…悲しませないで…」
「そんなの、おまえに言われるまでもない!」
声を荒立てて言った。
「……なら…いいよ…ヒョン…支度したいんだ…降りてくれる?」
ゆっくりスンリから降りた。
ドアに手をかけた時、スンリが言った。
「ヒョン!…夕べ、俺が居た事はヒロに言わないでよ」
「……。」
無言でドアを閉めた。
*********************
あれから眠れなかった。
目を閉じると唇と指に残ったヒロの感触が鮮明に思い出される。
諦めなきゃ…。
ヘッドホンをつけてベッドに横になる。
思い出される度に、気持ちとは裏腹に体の一部が変化する。
ちくしょう!
抱きたい体と、諦めなきゃいけない気持ち…自分の心と体とのバランスを取るのが難しかった。
ヘッドホンから流れる音楽をバラードに変えた。
少し眠ろう…寝たら忘れられる…きっと…。
硬く目をつむった。
「わぁ!!…ヒョンか…」
ウトウトしてた所、ヘッドホンを外されて驚いた。
「俺で悪かったなっ」
「い…いや…ヒロは?」
「出かけた。朝食におまえを起こしたけど返事がないって心配してた」
あ…朝だったんだ。
ヒロに悪い事しちゃったな。
笑って安心させてあげたかった。
「あ…うん…ヒロ…他に何か言ってた?」
夕べの事が気になって聞いてみた。
「いいや」
「そっ…」
良かった…そうだよな…酔ってたと思ってる…ヒョンに言うまでの事もないよなっ。
すると、いきなりジヨンヒョン馬乗りになってきた。
怖いくらいの鋭い視線で俺を見下ろす。
「ヒロに何した?」
やっぱりヒョンには見透かされてる。
「なっ…何もしてないよ」
「本当は?」
「…本当に…」
「言え!」
ヒョンの声が大きくなった。
「…キスした…」
…ヒロ…ごめん…。
鋭い視線のままヒョンの顔が近づく。
右の口角が上がりイタズラっぽく微笑んだ。
「どうだった?」
「ど…どうって…」
「良かっただろ?」
「…ヒョン?」
「悪いけど、ヒロは俺の物だから…あの溶けるようなキスも…ふっw…あの甘い声も…滑るような肌も…」
ジヨンヒョンの怖いくらいの視線が怪しく光った。
「夕べで分かっただろ?」
「……。」
何て答えればいいんだよ!
ジヨンヒョンを下から睨み返す事しかできなかった。
「ヒロを…悲しませないで…」
精一杯の強がりで頼んだ。
「そんなの、おまえに言われるまでもない!」
声を荒立てるヒョン。
そこには、いつもの優しいヒョンの面影はなかった。
「……なら…いいよ…ヒョン…支度したいんだ…降りてくれる?」
ヒョンが降りて体が軽くなる。
部屋を出るヒョンの背中を呼び止めた。
「ヒョン!…夕べ、俺が居た事はヒロに言わないでよ」
「……。」
無言でドアを閉め部屋を出たヒョン…大丈夫だよね?
ヒロがこの事を知ったら、どんだけショックか…。
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