「ただいま~♬」
2人で元気良くスタジオに戻った。
まだ監督もカメラマンさんも戻ってない。
先にメイクを直してもらうため2人でメイク室に行った。
「ただいま~」
「もぉ~!ヒョン!どこに行ったかと思いましたよ!」
スンリ…声デカイよw
「あ~悪い…」
「で?上手く行きましたか?」
テソンが遠慮がちに聞く。
「さぁな…俺達もまだ見てない」
実際、どんな映像になってるか…想像もつかなかった…。
「先生…メイク直してもらっていいですか?」
「は~い♬2人とも座って~w」
メイクの直しが終わる頃、撮影に出ていた監督はじめスタッフが戻ってきた。
「どうでした?」
すかさず監督に尋ねる。
「うんうん…見てみるか~?」
みんなでモニターに集中する。
粗い画質…。
駐車場に停まった1台の車…彼女が店に入りソフトクリームを手に戻る。
お互いの顔を近づけ何やら話している。
唇を重ねる2人…。
始めは彼女から…次第にキスの主導権が男に移る…。
見つめ合い、そして車を出す。
音のない映像は、見る人の想像力を掻き立てられる。
でも、まさか車の中で俺達がマジに愛を確かめ合ってた…っなんて思わないだろうなw
「どーだろ?いい感じに撮れたと思うんだが?」
「バッチリです♬」
まるで始めからの予定だった~っと言わんばかりに自信タップリな顔をした。
「さぁ!スタジオでの撮影を再開するぞぉ~!2人とも、この調子で行こう♬」
「はい♬」
「はい」
2人で顔を見合わせて笑ったwww
もう一度カメラアングルと動きが確認される。
「ヨコ、一発勝負だよ」
「うん!大丈夫!早く終わらせてご飯食べに行く~♬w」
「そっちかっw」
「ふっふっふw食べなきゃ~体もたないでしょ?」
自分の言った事で赤くなるwww
可愛い~♡
「はーい!2人とも準備いいかな~?本番行くよ~!」
ヨコが静かに目を閉じる…。
ひゅーーーーーーーーーーっ、はぁーーーーーーーーっ
ゆっくり目を開けたヨコは、俺の知ってるヨコの中で1番セクシーでキュートだった。
*********************
メンバーに黙ってスタジオを飛び出してから、どれくらい時間がたったんだろう…。
タクシーを捕まえ一人部屋に戻った。
足元でボスがじゃれて来る。
ベッドに横になり天井を眺める。
時々、口を舐めてくるボスの背中を一点を見つめながら撫でていた。
クゥーン クゥーン
いつも帰ったらボスが疲れるまで遊んでやるのに、今日はそんな気分じゃなかった。
ベッドの上にボールや靴下、おもちゃをせっせと運ぶボス。
「ごめんな~、今はそんな気分じゃないんだ…」
僕の気持ちを知ってか知らずか…何時の間にかボスが僕に寄り添うように身体を丸めて寝ていた。
目を閉じて考える…。
決めた…いいんだよな?これで…。
2人とも失いたくなかった。
彼女に辛い選択もさせたくなかった…まっ…選択するまでもないかもしれないがっ…。
コレが最後…最後…彼女への想いを断ち切るつもりで、心の思うままに身体が動いた。
断ち切りたかったのに…まだ唇にヨコの感触が残ってる。
「え~い!」
重い体を起こす。
隣で寝ていたボスが驚いて飛び起きた。
着替えて自分の想いを振り切るように走りに出る。
散歩に行けると思ったボスが玄関に先回りしてる。
「後でな~」
頭を撫で家を出た。
もう辺りは暗くなっている。
いつもよりスピードをあげて走った…心の痛み以上の体の痛みが欲しかった…。
体の痛みが心の痛みを軽くしてくれる…。
きっと一緒に痛みが取れる…。
「ハァハァ」
春と言えども夜の風はまだ冷たい…息があがる…冷たい空気が肺いっぱいに入り胸が痛かった。
痛いよ…。
胸が苦しいよ…。
その場でうずくまって泣いていた。
車の走る音が僕の泣き声を消してくれる。
本当にコレでおしまいだから…。
ヨコの笑顔が浮かぶ…守りたい。
そのために僕が諦める事が必要なら喜んでそうしよう。
覚悟を決めて、また走り出した。
涙はない…いつものペースで部屋に戻りシャワーを浴び支度をする。
スタジオを飛び出た時は、まだ外は明るかったが今は真っ暗で人影もまばらだ。
まだ撮影は終わっていないだろうな…。
みんな心配してる…それに何より、時間が経てば経つほど顔が合わせ辛くなるのを知っていた。
「さぁ、行ってくるよ」
玄関で見送るボスに声をかけスタジオへと向かった。
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