納豆を食べ比べてみた | きょうは休肝日?

きょうは休肝日?

すでに休肝日は諦めているのだが、いまさらブログタイトルを変えられない

私は納豆が好きだ。

いつも食べているのは、昔、水戸に住んでいたという誼もあって水戸の「天狗納豆」、常陸太田の「くめ納豆」、常陸大宮の「舟納豆」だ。いずれも小粒か超小粒を通常は買う。


たまたま見たネットで「全国納豆鑑評会」の記事に出会った。

これを機会に評判のよい納豆の食べ比べをしようと思い立った。

ところがこれが案外やっかいだ。
その辺のデパートやスーパーなどで売ってないものが多いのだ。
取り寄せるにしてもネット通販などの取り扱いがないところが多い。
しかも取り寄せは1パックや2パックだけというわけにもいかないので冷蔵庫が納豆だらけになる。



そんなこんなでそうそうたくさんの種類は比べられなかった。
せっかくなら、地元埼玉県のものも比べてみようかと思ったがいつでも出来るので今回はパスした。

 

黒千石小粒なっとう」(栃木県宇都宮市「あづま食品」)たれ・わさび付き
黒千石小粒
この納豆は関東の大きいスーパー等ならどこでも手に入りそうだ。 

幻の大豆と呼ばれ1970年代以降生産が途絶えていたという小粒の黒大豆の黒千石大豆を使っている。

まめの味はさすがによい。やや甘めの印象。タレも甘め。
臭いも粘り(糸引き)も少なく、一般的には食べやすい納豆と言えるだろう。但し、臭いも粘りもしっかりしているほうが好きなコアな納豆好きである私としては、ここまでクセを抑えた納豆はあまり意味がない。
ただ、いろいろなおかずがある中での納豆なら、他のものの邪魔をしないこういうものはよいかも知れない。
おとなしい味だけに「辛子ではなくわさびで」というのもありだろう。


 

ふっくら大粒ミニ2」(秋田県美郷町「ヤマダフーズ」)たれ・辛子付き
ヤマダ大粒
これは大宮の「成城石井」で買った。 

2014年2月に開かれた全国納豆鑑評会で「日本一の納豆」最優秀賞に選ばれた納豆だ。 


かなり大粒で、とても軟らかい。この辺は好みが分かれそうだ。大豆の甘みもあるし、納豆の香りもしっかりあるので味はよい。粘り(糸引き)が普通にあるのが私にはうれしいが、如何せん軟らかすぎでご飯とのバランスが悪い。ご飯にかけずに単独で食べるのならOKだろう。


道祖神納豆」(長野県長野市「村田商店」)たれ・辛子付き
道祖神納豆
これは取り寄せ。 

2013年に開かれた全国納豆鑑評会で最優秀賞に選ばれた納豆。

長野県産の丸大豆を使った大粒納豆だが、大きすぎず小さすぎず適度だ。菌の膜でおおわれた姿がよい。
糸引きは十分で、香りもほどよく食欲を刺激する。豆の味はやや控えめだが、食感(硬さ)もしっかりあって納豆らしい納豆だ。これはよい。


「しっかり小粒納豆」(長野県長野市「村田商店」)たれ・辛子なし
村田商店小粒
「道祖神納豆」と同じ「村田商店」の小粒納豆。これも取り寄せ。ただ、その後、日本橋高島屋の地下の味百選コーナーで発見した。

たれも辛子もなし。何の模様もない白いカップ容器に入った納豆だが、佇まいは美しい。
開けたときの香りもよい。何よりすばらしいのは糸引きと食感。硬さのバランスがよい。
深い旨みもあるし小粒納豆としては非常によく出来ている。 

 

雪誉」(茨城県取手市)「オーサト」)たれ・辛子付き
雪誉
門前仲町の「赤札堂」で購入。

北海道産大粒大豆ユキホマレを使用し、低温でじっくりと蒸煮したという。かなりの大粒で食感も軟らかすぎず硬すぎず。糸引きも強い。納豆らしい味と風味で本来の納豆好きには好まれるだろう。ただし大豆そのものの味わいはあまり個性がないようだ。納豆らしい姿もよい。


翠(みどり)」(茨城県常陸大宮市「舟納豆本舗丸真食品」)紫蘇だれ・辛子付き
翠
取り寄せ。
珍しい山形産の小粒青大豆「黒神」を使用している。

緑がかった色。糸引きは十分。食感は軟らかめだが、不快なほどではない。やや甘めの味わいで、納豆らしい香りはやや希薄だ。だから納豆が苦手な人でも食べられる上品とでも言えそうな納豆だ。
添付の紫蘇だれはやや甘めだが、この納豆には合う。ご飯に載せるより、おかずとして食べたほうが良いかも知れない。

ついでに、昔から私が食べ親しんでいる茨城のおなじみの納豆もあらためて食べてみる。

 

まずは「翠」と同じ「丸真食品」の
舟納豆」(茨城県常陸大宮市「舟納豆本舗丸真食品」)たれ付き・辛子なし
舟納豆
「東急東横店諸国銘産品売り場」で購入。

奥久慈産の小粒納豆を使っている。舟の形の経木容器入りで量もかなり多い。
硬めの食感はなかなかよい。糸引きはそれほど強くはない。豆の味わい、納豆らしい香りはおとなしめだが、上質だ。
茨城の小粒納豆の代表選手であることは間違いない。

くめ納豆秘伝金印」(茨城県常陸太田市「ミツカングループ・金砂郷食品」)
くめ納豆
納豆業界での最近の大きな出来事の1つが、納豆の本場と言われる水戸でも人気の高かった「くめ納豆」の製造元がつぶれてミツカングループに組み込まれたことだ。
何しろミツカンは納豆業界に新規参入して「臭わない&軟らかい」を売り物にあっという間に大きなシェアを獲得してしまったメーカーだからだ。
もともと「くめ納豆」は天狗納豆などに比べればずっと軟らかめではあったのだが、コアな納豆ファンである私には大いに心配なことではあった。

 

あらためて食べてみる。前の味をしっかり覚えているわけではないので、ほかの納豆との比較だけにとどめる。
糸引きは十分だが、食感はやはりやや軟らかめ。納豆らしい臭みや大豆のうまみはあまり感じられない。なにより付いているたれは私にはだめだ。


天狗納豆丸カップ2ケ入り納豆」(茨城県水戸市「天狗納豆総本家笹沼五郎商店」)たれ、辛子付き
天狗納豆
大宮の「クイーンズ」で購入。紀ノ国屋、三越、クイーンズ伊勢丹系などで売っている。

天狗納豆は水戸納豆の元祖といえるブランドだが、実は複数のブランドがある。しかも初代の流れをくむ会社も2つある。この総本家と「水戸元祖 天狗納豆」だ。いずれも水戸納豆の最大の特徴である極早生の小粒納豆を主力商品とする。

この「丸カップ2ケ入り納豆」も15回全国納豆鑑評会で特別賞、今年2月の19回大会でも優秀賞を受賞している。

私にとってはごくごくおなじみの納豆だが、改めて食べ比べをしてみれば、「やはりいいじゃないか!」ということになる。
納豆らしい香りとおとなしめな味わい、ほどよい硬さと糸引き。納豆があまり得意でない人はともかく、根っからの納豆好きの私などには、飾らず食べる日常食としての「ザ・ナットウ」と言える存在だ。

あれこれ比べてきて、1番はどれかというのは難しいが、好みとしては

でも結局のところいつも食べている「天狗納豆」でいいのかなという気もしないでもない。結論はいささかつまらないが、まあ、そんなものだろう。
 

 

<藁つと納豆について>

ついでの話。
今回の納豆比べをするに当たって、ネットでの評判などを参考にしたのだが、中には「藁つと納豆以外は認めない」などという見当違いの意見もかなりあった。

 

知っている方も多いと思うが、衛生上の問題や無農薬で作られた藁が少ないことなどから本来の天然藁納豆というのはほとんど市販されていない。

その辺で売っている藁つと納豆は、藁についている納豆菌ではなく、培養された納豆菌で作られているので、実は普通の納豆と作り方が変わらない。多少乾燥の度合いなどが変わり、味にも影響するかも知れないが、要はこの場合の藁つとというのはただの容器なのだ。


最近、天然の藁納豆の復活に成功したという話をちらほら聞くが、まだ私は食べてない。