<ロックのライヴ盤といえば>
ロックのライヴ・アルバムといえば、
有名どころで、オールマン・ブラザーズ・バンド「フィルモア・イースト・ライヴ」、
クリーム「ライヴ・クリームVolⅡ」、
ディープ・パープル「ライヴ・イン・ジャパン」、
イエス「イエスソングス」、
エマーソン、レイク&パーマー「展覧会の絵」、
キングクリムゾン「USA」、
ジミ・ヘンドリックス「ライブ・アット・ウッドストック」、
ローリング・ストーンズ「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト」、
ザ・フー「ライブ・アット・リーズ」、
レーナード・スキナード「ワン・モア・フロム・ザ・ロード」
などがすぐ思い浮かぶが、私の場合には、下の写真のアルバムも忘れることができない。
*以前なら涙なしには聴けなかったボブ・ディラン&ザ・バンドの「偉大なる復活」。
*すでに本ブログで取り上げたグラハム・パーカー&ザ・ルーモア「パーカリラ」。
*R&Bではあるがサム・クックの「ハーレム・スクエア・クラブ、1963」。
*当時あれだけヒットしたのに忘れられ気味のJ・ガイルズ・バンド「フルハウス」。
*パワフルでうるさいデトロイトのMC5「キック・アウト・ザ・ジャムズ」。
そして本日聴いたリトル・フィート(Little Feat)の「ウェイテング・フォー・コロンブス(Waiting For Columbus)」。
<実力派ロックバンド リトル・フィート>
リトル・フィートはドゥービー・ブラザーズ、イーグルス、スティーリー・ダンなどと並ぶ70年代のウエストコーストを代表するロックグループだ。
他の3グループのようにヒットを飛ばすわけでも、アルバムのセールスが抜群のわけでもないのに、グループとしての評価は極めて高く、熱狂的なファンも多い。
あまり売れていないこともあり、グループ・メンバーは他のミュージシャンのアルバムなどにセッションマンとして呼ばれることも再々で、あちらこちらのアルバムで彼らの名前を目にする。
はっぴーえんどのラストアルバム「HAPPY END」や矢野顕子のデビュー・アルバム「JAPANESE GIRL」など日本のミュージシャンのアルバムにも参加している。
余談だが、桑田佳祐がこのリトル・フィートのファンだということもよく知られている。リトル・フィートの顔であった故ローウェル・ジョージのトリビュート・アルバムにも桑田は参加している。
私が聴くリトル・フィートは、やはりローウェル・ジョージのいた頃のもので、
ローウェル・ジョージ Slide Guitar,Vocals
ポール・パレール Guitar,Vocals
ビル・ペイン Piano,Keyboards,Vocals
リッチー・ヘイワード Drums
ケニー・グラッドニー Bass
サム・クレイトン Percussion,Vocals
というメンバーのものだ。
ニューオルリンズ色の強いR&Bやブルース、カントリーなどを基盤にしながら、実験的な新しさもある。何よりパーカッシブでファンキーなリズム感が魅力的だ。更に、次第にジャズやフュージョンのような要素も強めていき、ローウェル・ジョージのスライド・ギターとの不思議なマッチングも相まって、極めて独創的な音楽を作り上げていた。
<リトル・フィート「ウェイテング・フォー・コロンブス」>
さて、ライヴ・アルバム「ウェイテング・フォー・コロンブス」(1978年)だが、スタジオアルバムより演奏は重厚で即興性の強いものになっている。
リズムセクションの弾力感溢れる演奏はライヴで一段と輝きを増している。
これに、ビル・ペインのニューオルリンズR&Bテイストたっぷりのピアノやジャズっぽい即興的なキーボード、ローウェルとポール・バレールのうねるようなツイン・リード・ギター、ローウェルの渋いヴォーカル、意外に達者なヴォーカル・ハーモニー、更にホーン・セクションとして贅沢にもタワー・オブ・パワーが加わり、圧巻のパフォーマンスを繰り広げる。
特に、レコードでいうとC面にあたる『ディキシー・チキン』からのノンストップの流れは思いっ切りスリリングで楽しい。
ローウェル・ジョージは薬物中毒で体調を崩し1979年に心不全で亡くなった。
グループはメンバーチェンジを繰り返し2000年代に入っても活動していたが、私にとってのリトル・フィートはここで終わった。そのローウェル在籍中のリトル・フィートの集大成と言えるのがこのライヴ・アルバムだ。