手術室に到着しました。

まずは一緒に入ります。驚いたのは、入るとき別に手洗いとか消毒とかしないこと。
え、いいの……?と思いながら入り、次に長男の頭に薄いガーゼのような帽子をかぶせます。
そして付き添いの私も同じ帽子をかぶり、ガウンを着ます。

中には麻酔担当の先生や看護師の方がおられ、いっぱいいっぱいの私は挨拶するのも忘れていました。
長男は手術台の上に寝かされ、私も横について手を握ります。

麻酔を吸い込む用の、ドラマでよく見るマスクを口にあてるのですが、子どもなので香りがつけてあります。
前日の問診で、バニラかイチゴかオレンジの中から選ぶよう聞かれていました。
長男はバニラを選んでいたので、麻酔の先生が、
「じゃあバニラアイスの匂いがでてくるよ~
鼻で吸ったら鼻にアイスが入っちゃうから、口で吸ってね~」
と、鼻でなく口で吸うように指示されます。

「お母さんはずっと側にいるからね、大丈夫だよ、一緒に頑張ろうね」
と声をかけ、手を握っていると、だんだんと長男の目がとろ~んとしてきて、閉じてきて……
あぁ、こうやって麻酔が聞いていくんだな、と思っていると、、、暴れだしましたポーン

驚いてあると、
「よくあるんです。それまでに頑張って気が張ってた子ほど、麻酔が効いてくると反射みたいな感じで動いちゃいます。もう夢の中ですよ、お母さん、大丈夫ですからね」
と言われました。
で、動きが落ち着いたら、では外でお待ちください、と言われ、気がつくと執刀医の耳鼻科のC先生も来られていたので、慌てて皆さんに「よろしくお願いします!!」と頭を下げて手術室をあとにしました。

出るときに看護師さんに、「ちょっとびっくりしちゃいましたよね」と声をかけられると、涙がでてきてしまい、「はい」と答えるのが精一杯でした。
帽子とガウンを脱いで、最後にその看護師さんに、再度「よろしくお願いします」と伝えて出ました。

病院からは、こんな説明の紙をもらっていました。




アデノイドと扁桃腺の除去手術は、手術時間は約1時間、麻酔を効かせる最初と手術が終わって切れるまでの時間がそれぞれ30分くらいで、合計で約2時間だと言われました。
手術中は、終わったら携帯に連絡するので、院内にいるならどこにいてもよいとのことでした。

朝から長男の絶食につきあって7時から何も食べてなかったのと、術後も6時間は絶食につきあうようになるので、私は今のうちに食べてしっかりしとかないと、と思い、院内の食堂に行くことにしました。

入院してからはセブンイレブンのご飯ばっかりだったので(別に不満はないのですが)、久しぶりの定食です。
食欲はありませんでした。
食べても味はあまりわかりませんでした。

食べながら、涙が出ました。
大きくなったとはいえ、まだ6歳。
まだ小さい体で全身麻酔して手術を受けさせてよかったのか。
酷だったか。
今さら思っても仕方のないことが頭に浮かびます。

でも。
これは長男の将来のため。
こう言い聞かせて、手術の間にやれることをやっておかなければ。
ご飯を食べ終えたら、次は買い出しです。
術後6時間は絶食とはいえ、6時間経ったときの食べるものを用意しておかなければなりません。
病院の晩ごはんの時間は過ぎてしまっているため、自己調達です。
とはいえ、アデノイドと扁桃腺の除去手術です。
とりわけ扁桃腺はのどの奥なので、食べたものが確実に傷部分に当たります。
なので喉ごしのいいもの、柔らかいゼリーやプリンぐらいしか食べられるものを説明されました。
ウィダーインゼリーやプッチンプリン、果物のゼリーを選び、あとは私の晩ごはんと飲み物を買って。
術後は長男にずっと付き添うため、買い出しのタイミングはこのときしかないのです。

いろいろ買い込み、病室に戻って荷物を置いたら、もう手術室前の待合室へ行くことにしました。
病室にいても気が気ではありません。

手術が終わるまで、待合室で1人で待っていました。
テレビで刑事ドラマが流れていましたが、頭には入ってきません。
家族へ状況を連絡したあと、ぼーーっと待っていると、呼ばれました。

そういえば麻酔が効いて手術室から出るときに、麻酔の先生に、
「手術が終わって出てくるときにはもう目は覚めています。確実に痛くて泣いてると思うので優しく声をかけてあげてくださいね」
って言われたっけな。

急いで入ると、
暴れていました滝汗
痛いー
帰るー
喉が痛いーーーー

声はかすれていますが、なんとなく声が高くなったような感じがしました。
手術台からベッドに移されて、点滴につながれたままドッタンバッタンもがいて暴れるので、管はぐちゃぐちゃで抜けそうになるし、手術着もはだけて大変です。
「痛いね、よく頑張ったね
もう終わったよ、よく頑張ったね
大丈夫だよ、落ち着いて」
手を握って、声をかけて、体をさすって、いろいろやっても全然落ち着きませんショボーン
そりゃ痛いから仕方ないです。

でも時々ふっと落ち着いて目を閉じるんです。
そしてまた痛いーと暴れる。
まだ麻酔の効果で眠たいんだそうです。
「部屋に戻ったらまた寝ちゃうと思いますよ。」
担当のC先生から言われました。
「手術は問題なく終わりました。
痛み止めの坐薬もうちましたから、そのうち効いてくるでしょう。」
長男をさすりながら、ありがとうございましたとお礼を伝えます。

やっとこさベッドごと部屋に動かしてもらいました。
術後6時間はベッド上安静なのです。
長男は痛いと泣き続けています。

次回に続きます。