2021年9月の記事ですが、激しく共感したので3回にわたってご紹介したいと思います
『生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』著者・バク@精神科医インタビュー
https://diamond.jp/articles/-/280551?page=2
発達障害は甘えではなく脳の特性
──最近は、発達障害で悩んでいる人が増えたような印象があります。
バク先生(以下、バク):私の患者さんにも、発達障害で悩んでいる人は多いですね。私自身もADHD(注意欠如多動性障害)でケアレスミスが多かったり、スケジュール管理が苦手だったりと多くの人に迷惑をかけまくり、生きづらさを感じてきました。集団生活になじめずダメ人間な自分に落ち込み、抑うつ状態になって休職したこともありましたが、現在は薬を服用し、仕事に支障を来さない方法を考えられるようになりました。
──ADHDもASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)も、どちらも同じような言動をとるのですか?
バク:どちらも衝動性があるので、思いついたことを瞬間的にやってしまうのは一緒ですね。
──ただ、「発達障害は甘えでしょ」という声も耳にしますよね。認知度が上がったわりには、正しい理解が広がっていないのでしょうか……?
バク:「甘えるな」とか「根性でなんとかなる」とか言われる人はとても多いんですが、発達障害は脳の特性なんです。
たとえばADHDは、ドーパミンという脳内の神経伝達物質になんらかの問題が起きている可能性が高い、と最近の研究結果で言われていて。
──脳内の問題とは、どういうことでしょうか?
バク:脳の中でも「空気を読む力」や「社会性」を司ると言われている場所、例えば前頭前野などでの機能異常がある可能性があるんです。それが感情や欲求が抑えにくい原因になっていることが推察されているんですね。
そうなると、思いついたことを瞬間的にやってしまったり、やってはいけないことを衝動的にやってしまったりします。
──具体的には、どんな問題が起きてしまうのでしょう?
バク:たとえば、普通の人はハゲを見たときに「ハゲだ!」って言わないですよね。取引先の会社の社長さんがハゲだったとしても「うわ、ハゲだ!」って言わないじゃないですか。
──言わないですね(笑)。
バク:思っても言わないですよね。でも、発達障害の人はハゲを見たら「あっ、ハゲだ!」って言っちゃうんですよ。
──ADHDもASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)も、どちらも同じような言動をとるのですか?
バク:どちらも衝動性があるので、思いついたことを瞬間的にやってしまうのは一緒ですね。
ただ、アスペルガーとADHDの違いは、「ハゲだ」と言ってしまったあとの反応です。アスペルガーは共感性が低い傾向にあるため、他人の感情に寄り添ったり、「こんなことを言ったら相手が傷ついちゃうだろうな」と感じ取ったりするのが苦手なんです。
だから、「おい、取引先に何失礼なこと言ってるんだ!」と怒られても、「えっ、でもあの人、ハゲてますよね?」「ハゲの人にハゲって言って何が悪いんですか?」とか言っちゃうんですよ。
──なるほど……!
バク:でも、ADHDの場合は、衝動性があるだけで共感力はまあまああるので、「ハゲにハゲって言ってもうたあ~~~!」とすっごい落ち込むんですよ。
──それは辛いですね……。
バク:で、パニックを起こして、慌ててしまって「ああっ、すみません……! 気にしているはずなのにハゲとか言ってしまって本当に申し訳ありません……!」みたいに、さらに畳み掛けてしまったりします。
言っちゃいけないとわかっているのにやらかしてしまって、そのあとでなんであんなこと言っちゃったんだろうと落ち込む。ADHDが感じる「生きづらさ」はこういうところにあるんですよね。
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