RESEARCH WORK♯26 | EAT THE MUSIC.

EAT THE MUSIC.

とにかくそれが音楽と思しきモノなら
何でも聴いちゃう節操なき超雑食系男子が
日々どのような音楽を「喰らって」生きてるかの
しょうもない雑記です。
共に喰い散らかして頂けたら幸いです。

みちしげ - さゆみ【道重さゆみ】
1989年7月13日~

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モーニング娘。'14
"TIKI BUN/シャバダバ ドゥ~/見返り美人"

'03年7月にリリースされたモーニング娘。19thシングル・"シャボン玉"でデビュー以来、長らくハロプロ、モーニング、ひいてはJアイドル界隈を引っ張って来た彼女。

この間にハロプロブランドの凋落~AKBフィーバー、それとクロスオーバーする形で外部のメディアでは存在を半ば黙殺されながらも、ハイクオリティなパフォーマンスで心あるヲタを夢中にさせた所謂一つの「プラチナ期」。
そしてフォーメーションダンスとエッジの効いたEDMサウンドでの復活劇、と言うストーリーラインの唯一の生き証人として、'15年現在最長在籍メンバーと言う、恐らく今後も破られる心配もなさそうなレジェンドを打ち立てました。

このストーリーと並行し、ラジオや「格付け」などソロでの積極的なバラエティ露出、リスクを省みないナルシスト・毒舌キャラで対世間へのアプローチも功を奏し、いつの間にやら安易にヲタフレンドリー的なビジネスに走った弊害で蔑ろになっていた一般層への訴求を達成。

道重の活躍により「モーニング娘。」と言うワードを数年ぶりに耳にした、と言う人も実際多いでしょうしね。

そんな彼女も、再び息を吹き返したモーニング娘。と頼もしい後輩を見届けるようなタイミングで、'14年11月26日、横浜アリーナでのツアーファイナルを持って卒業。

この女子として最も輝ける時期の一つであろう10代中盤からの10年、青春の全てをアイドルとしての活動に費やした彼女の功績は今更オレのような者が語るコトもないんですが、遅ればせながらDVDで道重の卒業ライブを拝見し感動、嗚咽禁じ得ず、また更に道重の存在のデカさを再認識してる最近な訳よ。
「歴史上」を見渡せば間違いなく後年、安倍なつみや後藤真希と並ぶレジェンド足る存在になり得る勇姿だったと思うし。

デビュー当時、同期の田中れいなや亀井絵里、あとミキティと並べば一枚劣る難のある歌唱力と難のあるキャラクターが劣等生的イメージをオレに植え付けながら、時を経てこうして夢中にさせられる自分が悔しい。

と言う訳で今更ながら、道重さゆみをあえて当ブログ的に取り上げるなら、彼女がボーカリストとして輝いたナンバーを羅列し、余計なお世話は百も承知でああだこうだと持論と悪態を繰り広げるのが筋でしょう。

オレあんまりアイドル個人に思い入れを持つタイプじゃないし、あえて分類するなら多分現場派の暑苦しい人たちに忌み嫌われがちな、所謂「楽曲派」なんだと思うのね。実にいけすかねえ。
ただ、アイドル個人のパーソナルなストーリーが楽曲単位に落とし込まれ、個性が発揮され、あまつさえその楽曲が素晴らしいならアイドル個人のファンにならない理由もありゃしない。

もはや松浦亜弥以来のつんくに置けるミューズ、と言うよりは寧ろ「つんくのオモチャ」と化した近年のポップアイコンぶりには戦慄さえ覚えるし、
彼女の場合、自身が筋金入りの女性アイドルファンな訳で「本人が一番正解を知ってる」、そんでセルフパロディ的に振る舞うと言うメタ的な構造が楽曲に奥行きとアイロニカルなユーモアを付加させたと言う新しいおかしみを作った、と言うのが決定的なオリジナリティだったと思います。

自身もヲタであるがゆえに共有出来るバイブス。
国民的アイドルだった頃には一定の距離を置いていた「ヲタカルチャー」とも親和性を持ち「愛」と「毒舌」と言うダブルスタンダードでファンを魅了=調教。ほとんどSMよ。
完全にファンをコントロール下に収め、横浜アリーナをドカンドカン跳ねさせる勇姿も印象的。
総じて実に今の時代のマーケットに適したアイドルだったと思います。
ピッチが取れなくても、可愛いけりゃ良いのよ。

で、彼女が最後に放った最高傑作を聴けばまだまだ戦えるのは明らか。
勿体ねえなあと思いつつ、彼女の不在感によって逆に浮かび上がる存在感の濃さにファンをアレコレ思案させるモラトリアムが今なのかもとも。

年内には道重の新しいアクションを見たいわと思いつつ、一先ず今は彼女が残した軌跡を振り返りたいと思います。

と言う訳で、久しぶりのRESEARCH WORKは道重さゆみメインのナンバーやソロ曲を中心に、ボーカリスト・道重の軌跡を語る上で欠かせない14曲を取り上げながら、その稀有な存在感、ひいてはボーカリスト/ポップアイコン・道重さゆみの魅力を暑苦しく書き散らかすの巻。

今夜も、うさちゃんピース。

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モーニング娘。"シャボン玉"

と言う訳で、記念すべき道重のデビューシングルとなったのが、モーニングに取って19作目となった'03年リリースの本作。

とは言いながらグループとしては緩やかに、でも確実に何かが崩れ始めていた時期。
後藤真希と保田圭の相次ぐ卒業、なっちや辻加護などスターメンバーの存在感の希薄化。当時の頭数は過去最大の15人。
今にして思えばかなりの転換期だし、ある意味プラチナ期への最初の助走?
そんな時期にグループにブッコまれてもねえ。

他にも高橋愛の強引な台頭、田中れいなのいきなりのメイン抜擢、石川梨華の水を得たイロモノ感、よっすぃーの肥大化、小川麻琴のどうでも良さ、ミキティの不機嫌ぶり、相変わらずメインじゃないから輝く矢口の鬱陶しさ、そしてやっぱり小川麻琴のどうでも良さ、と、目まぐるしくそしてあらゆる強力な磁場が働きまくったメンバー構成での着地として、つんくが最も得意とする一つのカオスなロック演歌。
恋に溺れ捨て身になった半狂乱なオンナの無様さ、それを15人と言うボリューム感で水浸しになりながらの「身悶えダンス」と言う絵面のインパクトは今にしてもなかなか上手い見せ方だったと思う。

ただ、繰り返しますがメインでもセンターでもない入ったばかりの新人にとって、この曲には道重自身の魅力を見せる余地などなく、実に哀れ。

かなり厳しい船出となった道重ですが、頭の「なのに、どこ行ったんだよ~」ラストの「シャボン玉~」で作られた見せ場に応えられてるかはわかりませんが、石川先輩と同じ「飛び道具コース」で育てたい送り手の狙いが既にあったのは明白。

そしてこの時期強いられた奮起が、たとえば予めスーパースター・後藤真希が居て「国民的アイドル」と呼ばれた時期に加入した5期メンバーの遠慮やおごりとの大きな差でしょう。5期、ざまあ。

ウラでは史上最もピリピリしてただろうし。
ミキティとか恐かっただろうしね。

結果的に「叩けば伸びる娘」道重さゆみの歴史を紐解けば実に「らしい」デビューだったのかも。

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モーニング娘。"涙がとまらない放課後"

大名作・佳作・怪作・大愚作が入り乱れるディスコグラフィでありながら何れもそれなりの妙味とフックでヲタを楽しませ続けたモーニング娘。にあって、ここまで語るべきコトのないどうでも良いシングルも珍しいでしょう。
と言うのが、'04年リリースの24th。

「もうなーんにも思いつかないんだケドもとりあえずリリースだけ先に決まってるからなぁ」と言う送り手のどうでも良さが、魅力のないメロディ、キレの悪いタイトル、覇気のないダンス全てから臭います。

この時期ソロ写真集をヒットさせた紺野あさ美ちゃんと唐突に道重、フォロー役に藤本&石川と言うアンバランスなフロント構成。
ヘナチョコボーカルを更に際立たせる出来の悪いフィルスペクター風サウンド。蕁麻疹を禁じ得ない「乙女の取るに足らない恋模様」的歌詞の世界観。つまりは多分に「萌え」に特化し、逆にそれ以外なーんもないエンプティー具合。

折角の初メイン抜擢がこれじゃ道重も浮かばれねえ。

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モーニング娘。"レインボー7"

'06年発表の7thアルバム。
この間に初期メンバーの相次ぐ卒業を経て、よっすぃー、5、6期に加入したての7期・久住小春ちゃんと言う10人体制になったこの時期のグループ。
相変わらず歯止めの効かない凋落。
でも心あるオレは曲さえ良ければそれで良いって言ってやってんのに、ツッコミ所さえない愚作祭りに辟易。
このアルバムも正直あんまり印象にないし、そう期待をしないで手をつけた記憶があるんですが、ここで唐突に事件発生。

それが小春と道重のアルバム内限定ユニット「重ピンク、こはっピンク」の誕生でした。

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「萌え」特化シフトはこれまでにも散見されましたが、ここまで悪趣味の限りを尽くし、悪ふざけを徹底し「萌えアイドル」と言うモノをここまでおもっくそ下品にデフォルメしたクリエーションは正気の沙汰とは思えません。
結局たとえそれが大名曲だろうが大愚作だろうが、ハロプロ×つんくのアクションを面白がれるのはひとえに「振り切れてる」から。
振り切りも煮え切りも、或いは素直に良曲をやろうともしないこの時期のシングルに比べ、本ユニットのデビュー曲であるこのナンセンステクノポップ・"レインボーピンク"のこの実に振り切れ、ぶっ壊れてるコトか。

悲劇なのはグループ自体が、地下アイドルとまでは言いませんが、けしてメインストリームなアイドルグループではない位置になり下がっていたタイミングゆえ、これがギャグとしてギリギリの所で成立していないと言う点。
内部ではセルフパロディ的なシニカルなお遊びのハズが、外部からは「モーニング娘。ってマジで今こうゆうモンだよね」と言う乖離。
まあ、外部に届ける気概なんか実際この時期に無かったでしょうケド。

それでも早くから自身の飛び道具特性を理解し、与えられた箱庭で役割を全うしたアイコン2人の懸命な姿は眩しい。
こうゆう着実なトライ&エラーによる後の道重ソロなんだろうし、高橋愛や藤本メイン一辺倒な見せ方しか出来なくなっていたグループに全く異質な磁場を持ち込んだ2人の功績って、やっぱデカいよね。

久しぶりに上質な「オモチャ」を手に入れたつんくのモチベーションも実に狂ってる。

ちなみにこのユニットは続くミニアルバム・"7.5 冬冬モーニング娘。ミニ!"収録の"わ~MERRYピンX'mas!"と言う発語するだけで自決したくなる怪作や、8thアルバム収録の"宝の箱"など悪ふざけは が続きます。

キモい。そして最高。