オンラインって気の向くままノート
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毎日の買い物の通り道に、いつもきれいに手入れをされた花壇のあるお家がある。毎朝草を抜いたり水をあげたりしているのだろう。春には春風に似合った色の、夏にはぎらぎらする太陽に負けないような元気な色の花が咲き、四季それぞれに目を楽しませてもらっている。

ある日、買い物から帰る途中、またその花壇の脇を通った。すると、花壇の柵の端に小さなカゴが一つ置いてあった。何かと思って近づいてみると、中にはアジサイのような花の苗が一つ入れてあった。そしてその横に、「お花の好きな方、もらってください」と書かれた小さな板が置かれていた。植える場所がなくなってしまったのだろうか。花の苗は紫色の花を元気に咲かせて、誰かがもらってくれるのを待っているようだった。
もって帰りたいなぁと思った。しかし何となく恥ずかしさが先立った。何も知らない人が見たらお花を盗んでいるように見えないだろうか、悪いことをしているのではないかと思われないだろうか。そんな事ばかり考えてなかなかその場から動けずにいた。
しかし、意を決してかばんからビニル袋を出し、花の苗を入れた。 周りの目をまだ気にしながらも心はいつしかビニル袋の中の花の事を考えていた。早く帰って大きな鉢に植え替えてやろう。大きくなってたくさん花を咲かせてくれるといいなぁ、からさないように水やりも忘れずにやろう・・・。夢はどんどん膨れていく。

大きく育ったら玄関の前に出してやろう。そしたら、いつか「もらってください」と書いておいてくれた人と花が再会するかもしれない。そんな事があったらなんだか素敵だなぁ。その時に花の苗がびっくりするくらい大きくなっていたらいいのになぁ。喜んでくれるだろうなぁ・・・。夢はビニル袋いっぱいになっていく。
そしたらいつか自分もあの人と同じように「お花の好きな方、もらってください」って花の苗を置いてみよう.たれかが持って帰って大きく育ててくれるかもしれない。そしてこの町のどこかで自分も大きくなった花と再会して喜べるかもしれない・・・。ビニル袋に入らなくなくなった夢は、足元からどんどん外へと広がり始めた。
そんな事が繰り返されたら、この町はもっと花で一杯の町になるんだろうなぁ。玄関の端や道の角、通学路やお店の前、あちこちでいろいろな花が咲いている。朝、水やりをする人同士が挨拶をして、世間話をして、花の話をして笑いあう。そんな朝が毎日きたら素敵だろうなぁ。その中に自分も入っていられたらもっといいなぁ・・・。夢はビニル袋を飛び出して町中に広かっていった。

さっきまでのどこか恥ずかしかった思いはすっかり消えた。ビニル袋の中で花の苗が揺れている。とにかく植え替えと水やり、それを楽しみに、待っているように思えた。

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