「雨夜の品定め」での光源氏はもっぱら聞き役に回り、
人の話にただ相槌を打ったり、
自分に都合の悪い話になると眠ったふりをしてしまうなど、
自分から話しを始めるようなことはありません。
そしてそれこそが、源氏という男の魅力でもあったのです。
噂話に夢中になるような男は、
いつの時代でも軽薄で興ざめと相場は決まっていました。
「枕草子」でも「女の悪口をあれこれしゃべったり、
他の男の行為を非難して口達者に話すような男は見苦しいもの」と見なされ、
口の軽い男は当時でも嫌われたようです![]()
平安ワースト男 by 枕草子
付き合っている女房の元を訪れ、
出された食べ物を食べる男。
火鉢や囲炉裏の傍で手を何度も裏返し、
あぶりながら座っている若い男。
低い身分の女性の名を馴れ馴れしく呼ぶ身分の高い男![]()
中流の女性こそよし「雨夜の品定め」が暗示する源氏の女性遍歴
女性と言えば藤壺女御や六条御息所など、
最上流の女しか知らなかった源氏。
藤壺への想いは変わらなくとも、この夜の女性談議で「中の品」
すなわち中流の女こそよしとする議論に触発され、
その女性観も変化します。
そして中流の女性達との出逢いに、
若き源氏は今までとは違う女性の魅力を発見。
源氏の恋愛遍歴に、新たなる展開が生まれるのです。
「雨夜の品定め」は中流の女性は個性的だの、
妻には温良で貞淑な女性がいいだの、
男性だけの会話だけあって
随分身勝手な発言が飛び出す「品定め」ですが、
ここが物語全体の序章になっているとさえ言われており、
注目すべき場面であることは間違いありません![]()
「雨夜の品定め」の翌日、
源氏はまさしく「中の品」の女性に出逢う…。
今までの源氏の女性関係には無縁だった女との恋。
物語は人間関係の新たな展開と広がりを加えて進んでいく![]()
控えめに恋心を綴る頭中将の恋人
撫子の花と一緒に届いた歌は「山樵の家の垣根は荒れていても、
何かの折々には、その垣根に咲く撫子の上に、
お情けの露をかけてください」という意味。
山樵とは、きこりや猟師など山で暮らす
当時は身分の低い者のことで、
男からの愛情も薄い身と自身を卑下しながら、
たまには来てくださいと切なる思いを打ち明けています。
これに対して頭中将は
「咲きまじる色はいづれと分かねどもなほとこなつにしくものぞなき」
と返歌します。
入り混じって咲いている花はどれが美しいと区別はつかないけれど、
常夏におよぶ花はありません、と、
相手を持ち上げて機嫌を取ろうとするのですが、
この女性は姿を消してしまうのです。
彼女が後に重要な登場人物になるとは、
この時、誰も知りません![]()
頭中将は女の元へもっと足繁く通おう、と誓うが、
女は「夜離れの床の塵を払う袖も涙で濡れている私に嵐まで吹き、
あなたに飽きられてる秋もやってきました」と詠み返す![]()



