「Blood・Edge」第Ⅴ話後編。 | Alicerhythm

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私が描いたり書いたりしたものを違うジャンルで形にしてくれる刺激的な相方を絶賛募集中です。厨二とかV系風味とかゴスロリとか魔術的とか・・・そんなのばっかりですけどね。

「うおおおおおおおおおっ!」

残っていた柄が消え、漆黒の剣は新たに編み直される。

赤いルーン文字が刀身に刻まれた、先程までの剣より複雑な形状となった剣。

「黒耀の聖剣《アロンダイト》!!」

Lune-Explosion!!

魔力放射で藍莉を吹き飛ばし、新たに作り上げた剣を構える。

日が落ちて、月と魔力がが照らす校庭で、アロンダイトの刀身は妖しく光る。

「・・・往生際が悪いね」

藍莉は悔しそうな台詞の割に楽しそうな笑みを浮かべて言う。

「その方が盛り上がるだろ?」

「もちろんっ!」

刃がぶつかり合い、火花が散る。

何度も何度も。

斬り合いが百に達しかけた頃、不意に藍莉が後退し、距離を開ける。

「光渦結晶《ルフトエッジ》ッ!」

蒼い刃がルフトで放出するような暴力的な魔力を全てその内に閉じ込め、瑠璃色の輝きを放つ。

「うおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!」

Lune-Overbreaker!!

アロンダイトの刃に浮かび上がったルーン文字が溢れるような魔力に反応して輝き、刃がスライドして長大化、隙間から開放された魔力が溢れ出し、巨大な刃となる。

お互いに残りの魔力のほとんどを惜しげなく注ぎ込んだ本気の全力。

どごおっ!!

刃がぶつかり、凍り付いていた校庭が衝撃に波打ち、砕ける。

完全に拮抗し、火花を散らす。

でも、俺はここで絶対にこいつを殺さなきゃいけない。

そうじゃなきゃ自分が死ぬとかそれ以前に。

『ゲームの目的どおりに3人、ペアだから6人か。殺したのよ』

そう言った朝姫の横顔。

傷付いて壊れそうなあの横顔が忘れられない。

そうさせたのは俺だったから。

もう、絶対にあんな顔をさせないために。

「うああああああああぁぁぁぁぁああああああああッ!」

ピシリ、と亀裂が入ったのはルフトエッジ。

自信満々だった藍莉の目が驚愕に見開かれる。

「嘘・・・!?」

怯んだ一瞬。

時間にしてみれば0,1秒もないような瞬間。

それだけで、十分。

それだけの瞬間、拮抗する相手の力が弱まり、一瞬だけこちらが大幅に上回った。

藍莉は吹き飛び、全力の蒼い刃も砕け散った。

彼女は崖を落ちていくような勢いで十数メートルも吹き飛び、倒れ伏す。

手甲も消え起き上がる気配はないが、まだ息はあるようだ。


Reset

アロンダイトの出力を落とし、通常の状態に戻してから彼女に近づく。

「・・・っ」

あんな鬼神の如き強さの少女。何人も殺して笑っていた少女。

それが今、俺の目の前で泣いている。

まるで別人のようで少し戸惑った。

「・・・あ、はは。ダメだったよ、やっぱり。私、甘かった」

正直、罠かもしれないと思っていたが、藍莉はもう立ち上がることも出来なければ、魔法だって武器の維持すらできない。

「言いたいことがあるなら聴いてやる。聴くことしか出来ないけどな」

彼女は「ありがとう」といって続ける。

「私、ずっと演技してたの。高瀬もパニックになって多重人格になったとか解釈して納得してたみたいだから、私も自分にそういうことにして言い聞かせてた。極限状態って怖いね。私がこんなに冷たくなれるなんて思いもしなかったよ。でも、私のせいで高瀬が死んだら嫌だったから」

正直辛かった。この子も、俺と同じような葛藤があったんだって。

自分を偽ってまで彼に生きて欲しいと願っていた彼女。

だからあれだけ強かった。

でも、終わらせなきゃいけない。俺も朝姫のために決意をしたから。

俺は動けない彼女の胸にアロンダイトの切っ先を突きつける。

「そっか。よかった。君がちゃんとしなきゃいけないこと分かってて。こんなこと言って殺すのやめちゃったらどうしようかと思ったよ」

藍莉は、今までとは違った清々しい笑みを浮かべた。

「・・・ごめんな」

「じゃあ、私の代わりにこんなこと始めた主催者ボッコボコに殴っといて」

「ああ」

こんな状況じゃなかったら、きっとコイツとはいい友達になれただろうな、と思いながら。

「じゃあ、な」

俺は藍莉の胸に深々と剣を突き立てた。

衣服の上から皮を破り、骨を断ち、肉を切り、心臓を貫く。

そんな、生々しい感触が伝わってきた。それが、人を殺すことだと知った。

私たちに勝って生き残ったんだから、ちゃんと幸せになるんだよ、と彼女が言った気がした。


殺されたのに、その顔はとても安らかだった。

同時に、高瀬も崩れ落ちる。

そして俺の首元でカチッ、と軽い音がしてペンダントが外れた。

「終わった・・・のか」

こんな悪夢みたいなことが終わったのに、達成感というものがまるでない。それになんか・・・嫌な予感がする。

「朝姫?」

朝姫の様子がおかしい。

鎌を持ったまま、肩を震わせふらりとこちらに振り返った彼女は・・・

赤い瞳を輝かせて笑っていた。

「朝・・・姫?」

答えはなく、轟炎が辺りを取り囲み、黒かった髪が銀色に染め上げられる。

「ふふふっ、あはははははははははははははははっ!」

赤い死神。

鎌を持って笑う朝姫を見て、そう思った。

「これで準備は揃ったわ。お疲れ様、結城蓮。これでやっとあたしが《あたし》として表に出られるわ」

邪悪に笑う彼女の顔は、既に朝姫のものではなくなっていた。

―――――――――――――《次回予告》――――――――――――――

全ての真相は簡単なこと。

終わらせたければ、世界を救うためには朝姫を殺せばいい。

たったそれだけのこと。

でも、俺は・・・

次回、「夜の終わり」