Blood・Edge第弐話。 | Alicerhythm

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イラストや小説、その他興味を持ったものを手当たり次第創作にチャレンジしてみたい人のブログ。
私が描いたり書いたりしたものを違うジャンルで形にしてくれる刺激的な相方を絶賛募集中です。厨二とかV系風味とかゴスロリとか魔術的とか・・・そんなのばっかりですけどね。

BloodEdge

第三話 「開戦と絶望」









――――――「さて」

色々巻き込まれてはいるが生憎と剣術や槍術みたいなスキル、そしてそれを使うだけの体力がないのでとりあえず使いやすそうなダガーナイフと拳銃、そして予備の弾倉をいくつか制服のポケットにしまう。

いや、拳銃のスキルもないがエアガンくらいなら撃ったことあるし当たらなくても牽制にはなるだろう。俺は立ち上がって教室のドアに手をかける。

ドアは普段どおりに開いた。

「何処行くの?

さっきまでの威勢はどこへやら、朝姫は不安げな瞳で俺を見上げる。

「いや、ここに居続けるよりもどこか隠れられる場所でも探した方が良いだろ」

要するに行く当てはない。だが、教室にいたら隠れるのも逃げるのも限定されるからな。

「待って、私も行く」

そう言って朝姫も適当な得物を持ってついてくる。

…そうは言っても本当に行く当てないんだよな。さて、どうしたものか。

とりあえず廊下に出て適当に歩く。体育館や特別教室のある方だ。

不意に、どこかから金属音が聞こえた気がした。自慢になるようなものでもないが俺は目と耳は良い。多分、誰かさんのおかげで危機を察知する能力が長けているんだろう。

今に限っては、感謝しないことも無い。

そしてまた、今度は確実に音がした。金属同士がぶつかり合う音。音源は…。

「体育館か」

「行ってみる?」

恐らく、というか行ったらそこでは絶対殺し合いをしてる。巻き込まれれば無事ですむとは限らない。

でも、うまく決着がついて勝った奴が疲弊したところで不意打ち。格好良くないどころかむしろ卑怯だけど、上手くすれば一度に2組脱落する。

こんなゲーム、卑怯も何もあったもんじゃない。さっさと終わらせて主催者様とやらを一発ぶん殴ってやる。

さて、考えは纏まった。

「そうだな、行こう」





――――――体育館に到着。できるだけ音を立てないように、細心の注意を払いつつ中を覗く。中では日本刀を持った男がナイフを持った二人組と対峙していた。

日本刀の男のパートナーが見当たらないが、どこかに隠れているのだろうか。

構えてはいるが、攻撃しようとしない日本刀男(段々適当になってるように思えるのは気のせいだ)に痺れを切らしたようにペアの一人が突っ込んでいく。当然、リーチは日本刀のほうが上である。

結果は言うまでもない。突っ込んでいった奴は一太刀で切り伏せられた。同時に、ペアのもう片方も床に崩れ落ちる。ペンダントの効力とやらだろう。

しかし、日本刀の男は、特に疲れた様子もなく、至って平然としている。

今仕掛けても無駄っぽい。俺は朝姫にアイコンタクトで、逃げることにしようと伝える。

まだ奴も気づいていない。さっさと逃げよう。

しかし、俺も朝姫も完全に油断していた。パートナーが隠れていることの意味を何も考えていなかった。

何処からか矢が三本、俺たち2人を囲むようにコンクリの地面に突き刺さる。なんて威力だ。ありえねえ。

しかもそれで奴もこっちに気付く。

「逃げるぞ、朝姫っ」

俺は朝姫の手をつかんで全力疾走。狭い所だと刀がかわせそうに無いので『遮蔽物も無く、視界を遮るものの無い校庭』に逃げる。が、すぐにそれが失策だと気付かされる。

空から注ぐ大量の矢によって。

つまり、隠れているのは安全地帯から確実に敵を仕留めるため、そして刀男の死角をカバーするため。

続けざまに降り注ぐ矢が校庭を抉り、土煙があがる。

「コホッ、矢って普通こんなに威力あるものなの!?

朝姫が半ギレで文句を言いながら拳銃の安全装置をはずす。

俺はナイフを構えて、土煙の向こうからの襲撃に備える。近くに刀男がいるからか、矢もあまり飛んでこない。


サリッ、とわずかに踏み込む音。

「ここだっ!

俺は刀を振り上げる音と同時にナイフで刺突を繰り出す。

「なッ!?

男は刀を引いてギリギリでナイフをかわし、後ろに飛んで間合いを開け、目つきを鋭くして俺を睨む。

内心ビックビクだったが虚勢を張って俺も睨み返す。

万年帰宅部で半引きこもりのくせに、よくもまあこんなことが出来たもんだ。自分を褒めてやりたい。大絶賛してやりたい。今じゃなくて良いが。

距離を開けられてしまったので、朝姫が拳銃を連射する。いつのまにか俺のも抜き取って二丁拳銃である。

そんな渾身の連射も、全て刀で弾かれる。

「何処のマンガだよッ」

と、連射を受けた直後の隙を狙ってツッコミ混じりにナイフで斬りつける。

「ハッ!」

と、一閃。ナイフの刃は刀と鍔迫り合いになることなく、紙切れのように根元から断たれる。

俺はギリギリで刀をかわし、今度はこっちから間合いを開けようとするが、大股で詰められ、大上段から刃が振り下ろされる。

咄嗟に握りっぱなしだったナイフの柄を男の顔めがけて投げつけ、ひるんだところで隠し持っていたもう一丁の小型拳銃を刀の柄尻に押し当て、ゼロ距離で発砲。殺せる気はしないからまず武器を破壊する。

小型ではあるがはじめて銃を撃った反動は思ったより大きく、後ろにつんのめる。

よく朝姫はこんなの連射できるよな。

刀は吹き飛び、柄は砕けて使い物にならない。

絶対的に不利なのにこの余裕の表情は何だ?

そういえば朝姫が居なくなってる。どこかに隠れたか。まさかこいつのパートナーを探しに行くなんて気の利いたことはしてくれまい。

なんてったって朝姫だからな。

「なかなか賢しいな、少年。ならばこちらも本気を出すとしよう」

男は右手を掲げ、そこに白い光が集まり始める。

「顕れよ、『天之尾羽張』」

光が集結、日本刀を形成し、白鞘の刀となる。

「なっ…」

待て、ちょっと待て。こんな出鱈目があってたまるか。

「まさか能力すら自覚していない者にここまでやられるとは思わなかった。筋は良いが、これで終わりだ」

まるで俺にも武器を呼ぶような能力があるかのような。

って言うかそんなの聴いちゃいねえよ!『武器は自由』っつったってどんだけフリーダムなんだよ!

本気でヤバいとき、人は動けない上にどうでもいいことを考えてしまうという出来れば知りたくなかったことを身をもって感じた。

「さらばだ。なかなか楽しかったぞ、少年」

そして、刃は振り下ろされた。












―――――――――――――《次回予告》――――――――――――――

ゆっくりと、しかし確実に、死は迫る。彼はその中で、懸命にもがく。だから私は彼に問う。

『力は欲しいですか?』


次回、「氷結と業炎」




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