あの日を鮮明に記憶している。平成13年9月1日、東京・歌舞伎町のビル火災で44人が命を落とした。

 当時は新宿署刑事課に勤務。署に泊まり込むことが多かったが、8月31日は久しぶりに帰宅していた。だが布団に入った瞬間、動揺した署員からの電話でビル火災を告げられた。

 タクシーに乗って署に急いだが、5人、10人と増える死者。署員を集めて、遺体の身元確認を仕切った。昭和60年、520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故でも、バラバラになった遺体の身元確認に携わった。遺族に「見つかっていない遺体の一部を探すため」と頼み、照合するための毛髪をもらった。

 「刑事とは被害者の痛みを分からないといけない。何が何でもホシをあげる信念を崩さない」。悲惨な現場を踏み、確固たる刑事像を持つ。

 刑事生活、31年。知能犯を捜査する捜査2課が長く、平成15年には福島県二本松市長による収賄事件の捜査を指揮した。前任の更迭を受けた急遽(きゅうきょ)の登板。捜査1課勤務は初めてだが、気負いはない。「1課には1課魂という情熱にあふれた刑事が多い。私も刑事。着実に結果を出す」

 世田谷一家4人殺害、八王子スーパー強盗殺人など重要未解決事件への思い入れは強い。鑑識課長時代から現場に足を運び、捜査資料を読み込んできた。「必ず糸口とか、見落とした物証があるんじゃないかと思っている。あきらめずに解決したい」 (高久清史)

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