2019年 インド テルグ語コメディ・スリラー

 

考え抜かれた脚本が評判になったというので楽しみな半分、インド人の顔の見分けがつくか心配でもあった。楽しみの方を取り前情報は殆ど入れず見に行った。

 

インド映画にしてはおしゃれな感じでヌーヴェルバーグとかアメリカン・ニューシネマのような動きがあるのかなと思った。マサラ上映向きではなさそうなのに146分という長丁場、ちょっと座り続けるのがしんどかった。

 

まず探偵が得た3つの電話番号から、易々と電話の持ち主の情報を引き出すところに引っかかる。探偵業とはいえ一般人。個人情報のデータベースにアクセスできることにびっくり。尾行もそういう演出なのか、あからさま過ぎてびっくり。その間にも話はどんどん進む。怪しい動きをするヒゲ男を警官と混同(皆ヒゲなので体格くらいしか目印が無いことも)。警官は途中から出てきて探偵と親しそう。しかも片腕には意味ありげなギプスがはまっている。

 

探偵は無類の映画好きで映画を捜査の教科書としている。「ユージュアル・サスペクツ」や「ディパーテッド」が出てくるので最初から出ている奴が怪しいのか。電話番号の3人目は女で顔写真がない。最初に事件を持ってきたジャーナリスト(男)は途中から出てこなくなった。

 

遺体発見現場に遺族を連れて行って、そのまま遺体確認させるのもびっくりした。父親が嘆いて娘の遺体にすがる。警官が触るなと命令する。いや、遺族を連れて行って現場を荒らしているのはアンタでしょう。

 

ヒロイン(探偵助手)が可愛かった。ちょっとぽっちゃりして、いいとこのお嬢さんぽい天真爛漫な感じ。陰惨な事件が続く中で清涼剤的役割を果たすが、途中からただのわき役扱いになってしまう。

 

練られたストーリーにハリウッドが飛びついてリメイクするかと思ったが、真相が分かってくるとインド特有の社会事情が見えてきてリメイクは難しそうだ。日常生活も犯罪も死も猥雑。迷信や宗教が大きな力を持ち、地域が閉じられて交流が少ない。

映画産業は世界を席捲しそうだ。IT大国と言われている。イギリスの首相、アメリカの有力議員など先進国で活躍するインド系の人たち。先進世界の仲間のように思っていたが新興国なのだ。インドはこれからもっと力を得て世界を引っ張っていくのかもしれない。