現在、新型コロナウイルス感染症におけるワクチンにはいろいろな種類があります。
<COVID-19ワクチンの種類(国:企業/アカデミア:ワクチンの種類)>
①米独:ファイザー/ビオンテック:mRNA
②米:モデルナ:mRNA
③英:アストラゼネガ/オックスフォード:ウイルスベクター
④米:ジョンソンエンドジョンソン:ウイルスベクター
⑤仏:サノフィ:組み換えタンパクa、mRNA
⑥米:ノババックス(武田):組み換えタンパク質
⑦日本:塩野義・感染研・UMN:mRNA
⑧日本:KMバイオロジクス/東大医科研/感染研/基盤研:不活化(従来型)
⑨日本:IDファーマ/感染研:ウイルスベクター
意外と日本が多いのですが、2021年3月から臨床試験を行いますので完成まではまだ先となりそうです。
①はmRNAを用いたワクチンです。mRNAワクチンは今までにHIV感染症や各種癌ワクチンなどで臨床試験が行われていましたが、ヒト用ワクチンとして実用化されるのは今回のCOVID-19ワクチンが初めてとなります。
いずれのワクチンも、『筋肉内注射』で21日から28日の間隔で『2回』接種します。
①は16歳以上から接種でき、有効率(95%CI)は95%(90.3~97.6)、②は18歳以上で94.5%(86.5~97.8)となっており、いずれも高齢者を含みます。
なお、有効率〇%は「非接種群の発症率よりも接種群の発症率のほうが〇%少ない」ということを表しています。
有効率90%であれば『非接種群の発症率よりも接種群の発症率のほうが90%少ない』ということであり、接種したら90%の人に有効!ということではなく、『発症リスクが0.1倍(10分の1)になる』ということですので、ご注意ください。(ちなみに、臨床試験の観察期間が100~150日程度であるため、免疫持続性の評価はまだできていません。)
ワクチン接種後における有害事象は、全年齢で「疼痛」「倦怠感」「頭痛」が多く、特に2回目はこれらの有害事象が増えている傾向にあります。
高齢者への接種や基礎疾患等を持つ人への接種などの安全性もまだ十分に分かっていないため、接種後は『自身の健康状態をよく観察しておくこと』が重要となります。
食べ物や他のワクチンに対して重いアレルギーのある人は、基本接種『可能』です。
ただし、
A:過去に新型コロナワクチンに対してアナフィラキシーなど重いアレルギー反応を起こした人
B:「ポリエチレングリコール」また「ポリソルベート」に対して重いアレルギー反応を起こした人
などは、CDC(米国の疾病予防管理局)は接種を推奨していません。
米国では、2021年1月18日時点で、9943247回中50例(100万回当たり5例程度)となっていて、74%が接種後15分以内に、90%が接種後30分以内に症状が現れています。また、アナフィラキシーを起こした接種例のうち、80%に「アレルギーの既往」があり、24%は「アナフィラキシーの既往」があったと報告されています。
もし、接種後にアナフィラキシーを起こした場合は、接種会場や医療機関ですぐに治療を行います。
ワクチンの接種は「強制ではありません」。
接種を受ける場合は説明を受け、接種者の同意が必要になります。(同意がない場合、接種は行われません。)
原則として、『住所地の医療機関や接種会場』で接種を受けることとなります。
接種を受けるおおまかな流れは以下の通りです。
a:市町村から『接種券』と『新型コロナワクチン接種のお知らせ』が届きます。
b:電話やインターネットで『予約』。
c:接種は『無料』ですが、接種する際は『接種券』と『本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)』を必ず持参しましょう。
なお、医療従事者等優先接種された方にも『接種券』が送付されますが、そのような方は「使用しない」よう注意が必要です。
接種後、健康被害(副反応)が出た場合は、予防接種法に基づく救済を受けることができます。
変更点やその他等は、厚生省のホームページ等を参照してください。
参考資料:日本薬剤師会雑誌 2021年3月号 Vol.73