夏に向けて注意が必要なのは「熱中症」や『脱水症』です。
「熱中症」は以前お話ししましたが、「暑熱環境における身体適応によっておこる状態の総称」で、高温環境下での発汗による『脱水症』が主な原因で起こり、めまいや頭痛、吐き気、意識障害などの症状が現れ、最悪の場合、死に至るケースもあります。
一方、『脱水症』とは「体液の量が正常範囲を超えて減少した状態」を言います。
「体液の量」は小児、成人(標準体型の男・女)、高齢者で異なります。
小児は体重の約70%、成人男性では約60%、成人女性では約50%、高齢者は約50%と言われています。
「体液」は栄養素や酸素の体内への運搬や、老廃物の体外への排出、体温調節などの役割を担っているため、その量が正常範囲を超えて減少してしまうと生体の恒常性が維持できなくなってしまい、水分の出納バランスが崩れ『脱水症』となってしまうわけです。
「体液」の働きには細胞外液に多く存在するNa+や、細胞内液に多く存在するK+、リン酸イオン、Cl-などの「電解質」が重要です。
成人では『脱水症』により細胞外液が喪失してもすぐに細胞内液から体液が移動し細胞外液を補充するのですが、細胞外液が多い「小児」や細胞内液が少ない「高齢者」は、体液のバランスが崩れると『脱水症』に陥りやすくなります。
「小児」や「高齢者」の『脱水症』では症状に伴う兆候が特に必要です。
「小児」では、急に元気がなくなったり、機嫌が悪くなる、食欲がない場合は『脱水症』に注意が必要です。
「高齢者」では、認知機能や記憶力の低下、日中眠くなるなどの生活リズムの変化、突然暴れたり大声を出す、また、脇の下が乾燥している場合は『脱水症』に注意が必要です。
『脱水症』の治療には「水」や「スポーツ飲料水」と考える方、多いと思います。
しかし、ごく軽度の『脱水症』であればOKなのですが、それ以上の『脱水症』ではそれでは不十分となります。
「水」は、大量に飲むと「水中毒:希釈性低Na血症」の症状が出現することがあります。
「スポーツ飲料水」は、電解質よりも「糖分」のほうが多いため、大量に飲むと高血糖や口の渇きを増強したり、「水」と同じように「低Na血症」を発症することがあります。
そのため、『脱水症』には「経口補水液(ORS)」で体液補正を行うことがベストとなります。
ただし、国内で販売されている「ORS」はいろいろありますが、Na+の量などに違いが見られますので「OST」ならどれも同じとは限りません。
・Na+:60mmol/L・・・ソリタT顆粒2号
・Na+:50mmol/L・・・OS-1、アクアサポート
・Na+:35mmol/L・・・アクアライトOST、ソリタT顆粒3号、アクアソリタ
日常的に「OST」を摂取すると「Na+の過剰摂取」にもつながりますので、予防目的での「OST」摂取はNGです。購入の際は薬剤師に相談しましょう。
参考資料:
クレデンシャル 2019/No.130
参考URL:
https://ameblo.jp/qiph/entry-12485513794.html (熱中症)