『おとうさん』『おかあさん』の語源知っていますか?
 
『おとうさん』は「お」「とう」「さん」に分けることができます。
「お」は敬語の「御」。「さん」は敬称です。(これは『おかあさん』も一緒です。)
 
「とう」には、大和言葉の「尊し」「貴し」という意味があります。
また、数を数えるとき、和語の数え方では「ひ、ふ、み……この、とお」と言いますが、この「とお(十)」というものが「数字的に満ち足りている様子も表している」とされています。
10という数は最初の節目の単位で、一から九までの基数を一まとめにする単位が「十」であり、古典漢語ではこれをdhiәp(呉音でジフ、漢音でシフ)と言い、「合わせて一つにまとめる」という意味があります。
「お父さん」と書く理由は、「父」という漢字が「手で斧の刃の部分を持つ」という意味があるためです。
 
『おかあさん』は、「お」「か」「あ」「さん」に分けることができます。
「か」は、大和言葉で「火」「日」という意味があり、「カッと熱く輝く様子」を表しています。
また、「あ」は、大和言葉の「生れ」から取られたもので、「愛のエネルギーで命を生み出す」ことを指します。
ですので、『おかあさん』は『太陽のように明るく輝く、子供を産んだ女性』という意味があります。
「お母さん」と書く理由は、「母」という漢字が『胸に乳房のある女』という意味があるためです。
 
なお、宮中では『おとうさん』は「おもうさん」、『おかあさん』は「おたあさん」と言います。
「おもうさん」は「お母屋様」が転訛してできた言葉です。「母屋」は父母が住んでいる家(建物の主人(寝殿の場合は邸の主人)の住空間)のことです。
また「おたあさん」は「お対の屋様」が転訛してできた言葉です。母親は「北の対(たい)の屋」(寝殿以外の主要殿舎を「対(たい)」又は「対屋(たいのや)」と呼びます。)に住むためです。
「おもうさん」も「おたあさん」も住んでいる部屋から名づけられているのは面白いですね。
 
参考資料:
歴代天皇大全(著:不二龍彦)
参考URL
https://www.chichi.co.jp/web/「お父さん」「お母さん」って呼ぶのはどうして/